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【年頭所感】新たな物流大綱、経済・社会の基盤[太田国交相]

2013年1月1日 (火)

話題太田昭宏国土交通大臣による年頭所感(要旨)は次の通り。


太田国交相

太田国交相

昨年は、年末の総選挙の結果、安倍内閣が成立した。総理の下で内閣一丸となって、社会資本の整備や交通政策の推進など国土交通行政の各種課題の解決に向け、全力を挙げて取り組む。

安倍内閣の重要課題は、景気・経済を再生すること、被災地の復興を加速すること、防災・減災など危機管理を構築することだ。私自身も現場の声をくみ取るよう取り組んできたが、今後はさらに、国土交通行政を預かる身として、特に防災・減災対策など国民の命を守る公共事業、中長期的な幅広い視野をもって、国民の理解を得られる形で着実に実施していく。

災害発生時の緊急輸送路の確保に向け、高速道路のミッシングリンクの解消などや陸・海・空の多様なモードが連携したバックアップ体制の強化に取り組むとともに、産業・物流・エネルギー機能が集積する三大湾での総合的な地震・津波対策を進めていく。

海上保安庁やTEC-FORCEの体制強化などによる初動体制の強化、地震・津波・火山・洪水・地殻変動などの観測体制の強化などによる防災気象情報の改善・警戒避難体制の強化、災害時の円滑な支援物資物流の確保に向けた民間物流事業者の施設・ノウハウを活用した災害に強い物流システムの構築や海上輸送路の確保、BCP(業務継続計画)の策定、災害時の避難者・帰宅困難者対策などソフト面の災害対策も進めていく。

昨年12月には、中央自動車道笹子トンネルで天井板が落下し、9人の尊い命が失われる事故が発生した。事故発生の翌日から、笹子トンネルと同の吊り天井板を有する施設を対象に緊急点検を実施し、必要な措置を講ずるとともに、現在、トンネル内の付属物なども点検を実施しているところであり、これらの結果などを踏まえて所要の対策を実施していく。中央自動車道は下り線を12月29日に対面通行で開通したものの、上り線は通行止めのままであり、輸送や観光など国民生活への影響を最小限に留めるよう取り組んでいく。

我が国の経済・社会の基盤となる物流分野は、サプライチェーンのグローバル化に対応した我が国物流システムの海外展開や、環境対策の推進、安全・安心な物流の確保などを図るため、新たな「総合物流施策大綱」を策定し、物流政策を総合的かつ一体的に実施する。

海運・造船分野では、日本船舶、船員の確保などを進めて我が国の経済安全保障上重要な安定的海上輸送を確保するとともに、天然ガス燃料船や船舶の革新的省エネ技術などの研究開発・普及促進や海洋開発分野への進出支援など、我が国の強みを活かした国際競争力の強化に取り組む。

我が国の国土と経済社会の存立基盤である海洋は、その主権を確保し、治安と安全を守ることが必要であり、特に、尖閣諸島周辺の領海警備は、現下の情勢を踏まえ関係大臣と緊密に連携し、国際法、我が国の法令に基づき適切に対処する。

そのために必要となる巡視船艇などの装備と要員の充実など、海上保安庁の体制強化に早急に取り組んでいく。

また、国土面積の約12倍に及ぶ我が国の領海、排他的経済水域での海洋権益の保全と海洋資源の開発、利用などを図っていくことは極めて重要である。このため、低潮線の保全や遠隔離島での活動拠点の整備、海洋調査の推進、海洋産業の育成などにも積極的に取り組む。また、ソマリア周辺海域や東南アジアでの海賊対策などを進めていく。