ロジスティクス物流システム開発のHacobu(ハコブ、東京都港区)は15日、国土交通省や秋田県トラック協会と共同で2021年から参画している「首都圏向け青果物の物流効率化実証実験」の成果を発表した。
ドライバーの長時間労働を是正し、秋田県の基幹産業である農業を持続可能とするため、Hacobuは21年から同実証実験に取り組んできた。同県で生産される青果物の8割以上が首都圏で消費されており、600キロを超える長距離輸送が行われているため、ドライバーの拘束時間が1運行当たり最大15時間を超えることが問題となっている。
生産・出荷地である秋田で、青果物の集荷と幹線輸送を完全に分離し、ハブ拠点の運営を強化することで、積み地側の積み込み作業の時間を大幅に短縮する。例えば、2023年11月に行われた実証実験では、ドライバーの拘束時間を最大15時間から12時間25分へと20%短縮することに成功した。しかしながら、秋田では休閑期(12月‐6月)の出荷量減少により、この施策を通年で実施した場合、現行費用に比べて物流関連コストが増加する見通しである。
一方、消費地である横浜市場で24年2月に実施された実証実験では、トラック予約受け付けサービスを活用し、車両の分散と市場側の荷受け業務の見直しを行った結果、荷待ち時間を大幅に削減することができた。また、仲卸伝票(送り状)や等階級単位での検品を「総数検品」方式に変更することで、輸送効率と検品作業の効率を大幅に向上させた。これにより、消費地での荷下ろし時間を削減し、検品作業を効率化することができた。
一連の実証実験は、Hacobuの物流DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング部門である「Hacobu Strategy」(ハコブ・ストラテジー)が行っている。ハコブ・ストラテジーは実験結果から、物流事業者から荷主企業への請求が行われていない一部業務費用について、新たに産地コストが発生する可能性を指摘。物流関連の費用をサプライチェーン全体で負担する必要があり、物流コストの上昇は最終消費者への価格転嫁が避けられないという。
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