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古野電気の車両入退場管理システム・FLOWVIS、広がる導入

ETC活用の入退場管理が導く、構内物流の最適解

2024年8月23日 (金)

▲システム機器事業部事業企画部企画マーケティング課の西村正也氏

話題構内物流の効率化ソリューション、FLOWVIS(フロービス)を展開する古野電気(兵庫県西宮市)のシステム機器事業部事業企画部企画マーケティング課、西村正也氏は、「効率化の取り組みは、現状で満足することなく、さらなる改善が要求されることは間違いない。構内物流最適化において、FLOWVISが法令対応に貢献できる場面も増えている」と言う。

流通業務総合効率化法(物効法)の改正によって、物流現場の効率化は、物流に携わるすべての事業者の義務となった。2025年度の施行に向けて、ドライバーの業務効率化の目標や事業者が講ずべき措置などの基本方針、荷待ち時間や荷役時間の算定方法などの詳細も今後明示される。物流関連企業各社の対応も急務となっている状況だ。

課題はバースだけじゃない、構内物流全域の効率化

FLOWVISは、ETC技術と車番認証技術を組み合わせた車両入退管理システム。ETC車載器と車番の両方で車両を「確実に」識別することで、車両入退場での受付業務を自動化し、省力・省人化を実現。入退履歴や滞在時間も自動記録するなど、入退管理の効率化でコスト削減を実現する。「荷待ち・荷役時間の削減においては、バース予約システムが注目されるが、その前工程やバース以外の構内領域、退場までの正確なドライバー稼働記録の集積など、視野を広げた効率化、構内物流の全体最適化を後押しするソリューションとなる」(西村氏)

FLOWVISの機能の特長の1つは、車両の検知率と識別率の高さ。ETCシステムを手掛ける同社の技術を生かした車両識別機能は、ETC搭載が一般化していることから多くの車両で新たな設備の用意を必要としない。万が一、ETCを搭載していない車にも、入場口に設置したカメラ映像の車番認証技術でカバーできるので、国内を走るあらゆる車両に対応し、セキュリティー対策での活用も有効だ。

▲ETC認証、車番認証のどちらにも対応しており、すべての車両を管理することができる(クリックで拡大)

また、構内物流に必要な機能をオール・イン・ワンで備えているのもFLOWVISの強みである。車両入場時のゲート開閉や、動線の電光掲示などにもスムーズに連携し、構内の入場から退場までをつなぐことで、トラックドライバーの動態記録を正確に可視化・記録することができる。法令で求められる効率化義務において、対応状況の根拠となるデータを自動で記録でき、管理業務での効率化や、守衛業務の削減に貢献する。バース予約システムとの連携や、車両の来場をメールや電光掲示で通知する機能などのオプションも用意しているので、構内全域のフローを究極まで効率化する運用へと高めることも可能だ。荷待ち・荷役時間の2時間以内ルール、さらにその先の取り組みが必要とされるなかで、FLOWVISによる改善領域がどれだけ広いか知っておくこと、まだ取り組んでいない効率化領域がまだまだあることに気づくことも重要である。

▲FLOWVISの運用イメージ(クリックで拡大)

さらに、操作性の良さにも力を入れている。担当者を設置する必要なく、施設の操作者が誰でも簡単に操作できることこそが、管理業務の効率化を促し、トラック運転手の働き方改善にもつながる。「入退場の自動化は、施設側の守衛の設置コストなどを削減するとともに、ドライバーが入場受付のたびに、トラックを降車して対応する手間や、それによって発生する入場口前の車両滞留を無くすことができ、近隣住民への配慮など、入り口からの効率化で効果を発揮する」(西村氏)

ETC活用というアイデアが評価され、導入・成功事例が拡大する

FLOWVISは、すでに多くの企業に採用され、現場効率化で成果を上げている。「ETCを活用するというアイデアへの評価が高く、問い合わせも多い。高速道路の渋滞緩和で実際に効果を発揮し、ETC運用の信頼感があることが、多くの企業の採用を後押ししたのではないか」(西村氏)

▲藤井電工の設置例

安全器具や墜落防止装置などを手がける藤井電工(兵庫県加東市)は、24時間常駐の守衛業務に必要な人材確保や、社員の通勤車両と搬送車両が混在する受付の煩雑さ、各工程の停滞による渋滞の発生などにかかるドライバーの負荷を課題として、FLOWVIS導入による入場口の自動化に取り組んだ。

入退場車両の検知・識別を自動化することで、守衛業務の大幅な改善を実現。入場前の滞留や受付作業で車両を乗り降りしての記帳や、その作業待ちでの滞留を解消することでドライバーにかかる負荷を低減。入場前の渋滞が発生しないよう、ゲートではなくパトライトと連動する仕組みで登録・未登録車を素早く判別し、セキュリティーレベルも下げることない運用を実現している。

▲多木化学の設置例

日本初の人造肥料開発で知られる多木化学(兵庫県加古川市)の課題は、これまで2か所だったゲートを1か所に集約する運用への対応であった。守衛業務の効率化を目指す運用変更ではありながら、輻輳(ふくそう)する車両の管理・識別や、セキュリティーの確保では新たな対策が必要として、FLOWVISを導入した。

当初は車番認証システムのみによる入退場管理も検討されたが、ETC認証とのハイブリッド管理にすることで、正確な車両検知と識別による滞留のない入退場口運用に転換。古野電気の豊富なバーゲート連携が、現場のセキュリティー確保にも生かされ、懸念された渋滞リスクのない新運用に移行することができた。

▲ササキの設置例

ハーネス製造を基軸に産業機器など事業領域を拡大するササキ(山梨県韮崎市)は、新工場の建て替えに伴い最先端設備の導入を検討、車両入退場におけるセキュリティー、自動化・効率化を推進するシステムの採用を検討課題に位置付けていた。特に従来の駐車場は24時間開放されており、かつゲートなどのセキュリティー対策などもされていなかったことから事故のリスクも危惧され、改善が必要とされていた。

FLOWVISの導入では、ETC認証と車番認証により、登録・未登録に応じてバーゲートを制御することでセキュリティーを強化。高速バーゲートを採用することで、迅速な入退場が可能となり、ドライバーのストレス解消・通勤時間帯の渋滞解消を実現した。

社員の通勤車両(ほぼ100%が車通勤)、取引先車両、郵便局や運送会社など数百台の車両を登録し、入退履歴を自動取得しており、守衛を置かない無人運用で、未登録車両はインターホンで事務所に連絡し、工場内から遠隔でゲートを操作依頼することで、事務作業と並行しながら入退場管理業務を監視できる、事務作業効率化を可能とした。また、シンプルで操作性に優れたソフトウエアであるため、担当部署全員が操作を習得し、効率的な運用を実現しているという。

▲FLOWVISの特徴(クリックで拡大)

国際物流総合展出展での、新たな出会い、新たな連携に期待

すでにさまざまな現場の課題解決において、その機能を発揮しているFLOWVIS。さらに西村氏は、現場改善から経営改善へとFLOWVISの活用領域を広げて、経営改善に生かす運用へと拡張してもらいたいと言う。入場から退場まで、車両の構内の動きを効率的に、かつ正確に実績収集できることで、構内物流の入り口からつなぎ目まで、ボトルネックとなる部分をデータから検証し、具体的な改善策、体制作りを整えることもできる。

▲国際物流総合展のブースイメージ

また、バーゲートやパトライト、電光掲示板などとの連携だけではなく、構内物流の各工程の他社システムとのAPI連携も可能であり、バース予約管理システムや、車両位置管理システム、さらにWMS(倉庫管理システム)など上位システムとも連携した、構内全域をつなぐスムーズな現場構築の要ともなる。「バース予約管理システムとFLOWVISをつなぐことで、予約情報と連携したよりスムーズな入退場、集中時間の分散、動線指示などへと機能を向上させる」(西村氏)ことなども検証を進めている。9月に開催される「国際物流総合展2024」では、あらためてFLOWVISの導入意義を、より多くの物流関係者に訴求していく場となりそうだ。

「今回は、系列のフルノシステムズ(東京都墨田区)とともに出展。フルノシステムズもまた、アンドロイドOS搭載の新たな無線ハンディーターミナルや、マイナス10度から55度までの幅広い庫内環境に対応し、アクセスポイント1台で100台以上の端末を接続できる無線LANアクセスポイントなど、庫内業務の効率化に貢献する提案を用意している。構内物流のあらゆる工程で、まだまだ効率化、業務改善できる余地はあるはず。現状の効率化対策に満足することなく、次の一手を検討してもらいたい」(西村氏)

「国際物流総合展2024」出展情報

カテゴリー:情報機器・ソフトウェア活用
ブース番号:2-803

公式サイト
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ltt/