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経団連、改正物流総合効率化法で支援や配慮求める

2024年9月18日 (水)

ロジスティクス日本経済団体連合会(経団連)は17日、今年4月に成立した物流総合効率化法(流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律)に基づく政省令の公布や施行に向けて、設備投資が必要な荷主企業への支援や、業界の特殊事情への配慮などを求める意見書を公表した。

意見書では、効率化推進に関する基本方針について「荷主事業者は対応のために設備投資が必要になる」として、政府に対して補助金や減税などを含めた荷主事業者への支援策を検討するよう要請。規制的措置について知らない事業者もまだ多く存在するため、法律の趣旨や規制内容について広く周知するよう求めた。特に荷待ちや荷役などの時間の短縮や積載効率の向上については、数値の達成だけを評価とすることで作業員の安全が疎かにならないよう、取り組み内容を工夫すべきだと指摘した。

また、国が荷主に課す努力義務と、その判断基準についても、取り扱う荷物の量によって、事業者の事情は異なるとして、トラック予約受付システムの導入は任意とすべきだと主張。事業者側で消費者由来の繁閑差をコントロールすることは難しいとして、繁閑差平準化の事例について、政府が積極的に広報することを提案した。

標準仕様パレットについては、業界や製品の特性上、導入が当分の間困難なケースがあるとして、国が設けた「官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会」の結論と整合性のある判断基準とするよう求めた。

さらに、業界ごとに「荷待ち時間と荷役等時間の総時間を2時間以内にできない特殊事情や、積載効率を向上できない特殊事情がある」として具体例を列挙。業界の特殊性を配慮した判断基準の制定を求めた。

このほか、運送業界の商慣行にも言及し、「商品自体に問題ない場合であっても、段ボールなど外装の汚れや傷だけを理由に、着荷主が発荷主に商品を返送する商慣行が一部で存在する」とし、こうした商習慣の改善を荷主の判断基準などに明記すべきだと提言。荷主事業者と運送事業者が日頃からコミュニケーションを取るなど双方の連携を促すことも明記するよう求めた。

「荷待ち時間」や「荷役等時間」の算定方法についても具体的に触れ、計測開始時刻と計測完了時刻を、それぞれ入構時刻と出構時刻として「荷待ち時間」と「荷役等時間」を合算する運用を提案。「荷待ち時間」の計測開始時間を指示時刻とするのは、トラック予約受付システムを導入している事業者を前提としているほか、システムを導入している事業者でも、輸送事業者が指定時刻から早く到着したり、遅れて到着したりするケースがあるため、指示時刻を基準にすることは適切ではないと指摘した。

算定の際の全数計測もコストが高すぎるとして、一部を抜き出すサンプル調査を基本とすべきだとした。この際、サンプリングの手法について、国がガイドラインなどで大まかな指針を示し、荷主事業者の負担ができるだけ少なくなるよう制度設計すべきだと求めた。

同法では、ドライバーの運送・荷役などを効率化するため国が規制的措置が設ける、と定められている。このため、国の審議会の合同会議で荷主・物流事業者に課す努力義務や、その判断基準について検討が行われている。合同会議では現在、各関係団体から意見を聞いており、これらの指摘や提言を踏まえたうえで、今年末までに政省令を作成。来年の初めの政省令公布を目指している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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