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三菱重工、バラスト水処理装置事業で中国企業と協業

2013年5月7日 (火)

産業・一般三菱重工業は7日、中国の中船澄西新栄船舶と、就航船舶に対するバラスト水処理装置の設置改造事業に協力して取り組むことで合意し、協業協定を締結したと発表した。

先進技術の導入で事業強化を目指す中船澄西新栄船舶と、エンジニアリング事業展開に力を注ぐ同社の思惑が一致したもので、国際市場で優位な体制を築く狙い。

今回の協業で、同社と中船澄西新栄船舶はバラスト水処理装置の機種選定から設計、改造工事、営業までの全プロセスにわたり、緊密なパートナーシップを組んで対応する。

同社からは、設置改造に必要な図面を供与するほか、必要に応じて指導員も派遣。また、船舶改修を手掛ける同社の船舶・海洋事業本部横浜工場(横浜市中区)で、中船澄西新栄船舶の工事関係者の研修も行う。

同一船型の船舶について複数隻への設置改造を一括受注した場合、同社横浜工場での最初の工事に中船澄西新栄船舶側も参加して取り組むことでノウハウを共有。以後の工事は、原則として中船澄西新栄船舶の工場で手掛けることで、短期に多くの工事を低コストで行えるようにする。

中船澄西新栄船舶は、中国国営で二大造船関連企業グループの一つである中国船舶工業集団(CSSC)の傘下企業で、江蘇省靖江市の長江沿いに本社工場を構えている。今回の協業交渉は三井物産の協力を得て行った。

バラスト水管理条約の発効で2017年に全面規制が始まると、船舶のバランスを保つための海水(バラスト水)を排出前に浄化するバラスト水処理装置の設置が、新造船と就航船に義務づけられる。

規制対象となる船舶が多く、造船会社の中には新造船に特化し、既存の自社建造船に対するバラスト水処理装置の設置改造には対応しない方針を表明する企業も出ており、同規制への対応が造船・海運業界の大きな課題となっている。

同社は、処理装置の設置改造に関する専任部署を11年4月に国内造船業界で初めて設置。ことし1月には、商船三井と共同で開発した設置が簡便なコンテナ型バラスト水処理装置の基本設計で日本海事協会の基本承認を取得するなど、同処理装置の設置改造事業で先行している。

同社では「中船澄西新栄船舶との協業を、バラスト水処理装置の設置改造事業、エンジニアリング事業の両面での大きな前進と位置づけ、新しいビジネスチャンス開拓につなげていく」としている。