調査・データ日本商工会議所が10月31日に発表した同月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果によると、全産業合計の業況DI(企業の景況感指数)はマイナス17.2で、前月比で3.1ポイント悪化した。物価高による消費低迷によって、再び悪化傾向となり、先行きも力強さを欠いている。
業種別にみると、運送業を含むサービス業は、秋の行楽シーズンで宿泊業が堅調な一方、生活関連サービスなどが下押しして悪化した。運送業からは「労働時間の上限規制にともない、多くの人材を確保する必要があるが、募集をかけても全く応募がない」という声が聞かれた。
その他の業種は、小売業が消費者の買い控えが重く、悪化したほか、卸売業も小売業・サービス業からの引き合い減少と、農畜産水産物の価格高騰で収益悪化が見られ、悪化した。建設業は資材価格の高騰や住宅関連の受注不振で悪化。製造業は自動車関係のけん引で改善したが、小幅に留まっている。
全業種とも、原材料・電気代の高騰や最低賃金の引上げなどでコスト増が続いている。また、深刻な人手不足の中、人材確保に向けて賃上げなどを行っているものの、十分な価格転嫁ができず、中小企業の業況は再び悪化に転じた。
11月から来年1月の先行きの見通しDIは、マイナス15.1で、10月に対する見通しに比べ2.1ポイント改善した。電気・ガス代への補助などが見込まれる新たな経済対策や、賃上げにともなう冬の賞与増加による消費拡大への期待感の反映だと考えられる。
一方、長引く物価高の中、実質賃金が再びマイナスに転換し、個人消費の低迷が景気回復の足かせとなっている。コスト増や人手不足、価格転嫁の遅れなどの解決策が見えない中、中小企業の先行きは力強さに欠けている。
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