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東京港の物流改善、オフピーク搬出入の成果公開

2025年2月5日 (水)

ロジスティクス東京都港湾局と東京港埠頭、東京都港湾振興協会は4日、「東京港のつどい」を開催。東京港を利用する、または利用を検討している荷主企業やフォワーダー、船会社などが、東京港の取り組みや港湾物流の効率化などについての情報を共有し、今後の方向性を議論した。

都港湾局の野平雄一郎港湾経営部長は将来の東京港の目指すべき姿とその戦略を示す「Tokyo Container Vision 2050(素案)」を解説、コンテナふ頭の機能強化などを柱とする取り組みを紹介した。2025年度はふ頭の機能強化や効率化・脱炭素化の取り組みに1715億900万円、前年度比70.9%増の巨額の予算を用意して推進する。

また、昨年の取り組みとして、コンテナヤードの混雑解消に向けた企業グループによる検証事業である東京港の「オフピーク搬出入事業モデル事業」について、代表企業のクボタの物流統括部担当部長、武山義知氏が講演した。

▲クボタ物流統括部担当部長、武山義知氏

オフピーク搬出入モデル事業には、クボタを代表企業とする荷主企業、物流事業者合わせて10社が参加。内陸部のコンテナデポと東京港デポを併用したコンテナヤード搬入時間の調整などによる、港湾エリアの混雑解消について検証した。混雑の少ない夜間帯を利用し、オフピークでのつくばインランドコンテナデポ(ICD)などの内陸デポ拠点から東京港デポまでの輸送による効率化や、港湾エリアでは早朝から午前帯のオフピーク時を利用した、コンテナヤードと東京港デポ間の輸送を実施した。

昨年11月に実施した実証の結果では、早朝、午前帯のコンテナヤード搬出入によってゲート前待機時間をこれまでの43分から7分(大井での事例)に短縮。内陸デポから東京港デポ間の夜間輸送では1車両で3往復(1車両が6コンテナ輸送、つくばの事例)という効率的な輸送や、東京港デポでの待ち時間ゼロを実現との結果を公開した。また、参加企業間のシャーシ共有の実施、輸送1回あたりの走行時の温室効果ガス排出量の削減も実証し、複数企業の連合を形成し協業できたことで、今後の拡大などの可能性を示した。武山氏は、1社単独ではなく、官民連携、民民連携などの取り組みの拡充を訴え、多くの企業の参加を呼びかけた。

また、コンテナ物流における現状課題についてのパネルディスカッションには、パネリストとしてオーシャンネットワークエクスプレスジャパンの戸田潤社長、荷主企業からキヤノンの平松壮一専務執行役員、東京港埠頭の服部浩社長、東京都の松川桂子港湾局長が登壇し、モデレーターを東京海洋大学の黒川久幸教授が務めた。大井ふ頭の機能強化が国際競争力の確保などにおいても最重要事項の1つであり、個々の事業者ごとの荷役ではなく、スケールメリットを生かしたふ頭全体の荷役への転換などへ向けた整備が検討されていることが示された。

また、必要となる物量の確保においては東京港へ荷物を集約することも必要との見解も示され、そのための地方港との連携の必要性も指摘され、東京都からはモーダルシフト推進に向けて補助事業なども含めた後押しを推進していくことなどが議論された。