ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

X Mile、外国人材採用支援・教育管理機能で新提案

2025年3月26日 (水)

▲X Mile執行役員DX事業管掌の安藤雄真氏

話題今年の関西物流展で注目すべき企業のひとつが物流領域のDX開発や人材サービスを展開するX Mile(クロスマイル、東京都新宿区)だ。同社は「ロジポケ」と「クロスワーク」という二つのサービスを中心に展開し、物流業界における新たなソリューションを提供。ロジポケは物流業務の効率化を支援するシステムで、クロスワークはドライバーを中心とした人材採用の支援を行うサービス。「今回の展示では、特定技能外国人採用の支援や、多言語対応のマニュアル管理システムの新規リリースを予定しています」そう語るのは、X Mileの安藤雄真氏。

安藤氏によると、「現在、日本のドライバー人口は減少しており、輸送力確保においては、外国人特定技能制度の活用も不可欠」とし、この課題解決のため特定技能のドライバーがスムーズに業務に適応できるよう、多言語対応のマニュアル管理システムとして「動画マニュアル管理システム」を開発。特定技能外国人の採用を支援するとともに、そうした人材の現場への導入を支援する。「現場を見ると、企業側の負担を軽減しつつ、労働者が適切に業務を理解できる環境が求められている」(安藤氏、以下同)という。今回の関西物流展でクローズアップする2つの機能・サービスは、外国人材の採用を、上流から下流まで網羅するものといえる。

▲「ロジポケ」の主な機能(クリックで拡大)

大型車の運転に慣れたドライバー人材確保を支援

同社が人材確保を進めているのはアジア圏のドライバー。アジア諸国には「大型免許を保有し、中東で運転経験を積んだドライバー人材が多く、日本市場でも即戦力として活躍できる可能性がある」という。これまでこうしたドライバー人材はサウジアラビアなどのアラブ圏に働きに出ていた。その人材を、日本に導入するのだという。また、「イスラム教徒が多い同国では飲酒文化が薄く、日本の運送業界で懸念される飲酒運転リスクが低い」のも大きなメリットと言えるだろう。また親日家が多いため、日本の生活になじみやすいことが期待できる。

外国人ドライバー確保には早めの準備が必須

しかしながら、外国人労働者受け入れには課題も多い。例えば、特定技能試験の合格率は50%程度と決して高くない上、そもそも試験センターは常に満員の状態で、一度受験の機会を逃すと3か月待たなければならない。試験センターの予約状況によっては入国後6-9か月間トラック運転業務に従事できないケースもあるのだ。そのため、いつまでにドライバーが必要だという時期があるのであれば、半年以上前からの準備が必要となる。安藤氏は「外国人ドライバーの導入は、思い立ってすぐにというわけにはいかないのが実情」とし、「採用には早めの準備が不可欠」と強調した。

ドライバー定着率が高い「クロスワーク」

クロスワークは、特にトラックドライバーやフォークリフトオペレーターなどの専門職人材を対象に、採用から定着支援までを一貫して行う仕組みを整えている。「求職者の適性に応じたマッチングを行い、定着率の向上を図ることで、物流企業の人材不足の課題解決に貢献」するのだという。

クロスワークの大きな特徴は、ドライバー定着率の高さだ。求職者には必ず物流業界への理解が深いエージェントが担当としてつき、就職先選びから就業、就業後の悩み事や相談などにも一貫して伴走する。また、ドライバーがほかの就職先を探すときにも、エージェントに相談する仕組みだという。またクロスワークでは、「こちらから雇用者に労働環境の改善などをお願いすることも。また、ドライバーが働きにくい環境の改善が進まない企業には、ドライバーを紹介しにくい部分もあります。売らんかなでとにかく数字を稼ぐというやり方はしていない」という。このような、ドライバーが辞めないケアがあるため、同サービスは掲載が無料。ドライバーが入社することで報酬を得る形になっている。また、ドライバーが離職しないことが、企業とドライバーを取り持つエージェントの評価を高める評価制度があるため、ドライバーが長く働くことが内部スタッフのインセンティブともなっている。求職するドライバーに対してはこうした伴走型ケアをする一方、運送会社側には採用に関する広報支援を行うなど、双方へのメリットの提供が強みのサービスと言える。

▲X Mileの人材サービス「クロスワーク」の特徴

言語の壁を越えたわかりやすい動画マニュアルを提供

運送業向けSaaS(クラウド)サービス「ロジポケ」の動画マニュアル管理システムは、こうした外国人ドライバー採用と一体になった機能といえる。

ロジポケは、運送事業者が必要とするバックオフィス機能がオールインワンとなったサービスで、運行管理や労務管理、アルコールチェックなどの業務がワンストップで利用可能。また、類似のサービスに比べて高い教育機能を備えているのが大きな特徴だ。各種の講習や研修など、法律で定められた教育がデジタルベースで提供されているので、講習会の会場にわざわざドライバーを派遣しなくても、社内で、あるいは運行の合間に所定の講習・研修を行うことができる。今回新たにリリースされる「マニュアル管理システム」もそうした教育機能の1つといえる。同機能では、外国人労働者を含むすべての従業員が、言語の壁を超えて適切な業務指導を受けられる環境を提供する。

▲「ロジポケ」のマニュアル管理機能イメージ(クリックで拡大)

安藤氏曰く、この機能は「物流の現場では荷主ごとに異なるルールを設けているケースがあるほか、同じ荷主であっても倉庫や拠点ごとにルールが違うことは少なくありません。それを外国人に言語や文字で伝えるのには限界がある」ことから開発が始まったという。ドライバーにとっても構内にどう入って、どこに車を着けるのかなどの軒先情報は拠点ごとに異なり、把握がしにくい。そうした日本の物流の現場での細かな決まり事は、外国人ドライバーにとってはなかなか理解しがたいことは想像に難しくない。しかしまた、ちょっとした事故が大きなケガにもつながるのが物流の現場。「現場のルールが伝わっていなかった事が原因となる労災事故の発生を未然に防ぐためにも、必須のソリューションといえます」。

とはいえ、それぞれの倉庫で専用のソフトを導入して動画を編集するのは荷が重いはずだ。「なので、動画マニュアル製作の機能はロジポケに追加されるので、すでにロジポケを導入していれば、そのまま利用可能となっています」(安藤氏)。特定技能実習生の採用など、新たな事態に対応しなくてはならないときでも、随時機能を追加していけるのは、ロジポケのようなSaas(クラウドサービス)の大きな強みと言えるだろう。また、動画編集のインターフェイスは直感的な操作が可能。マニュアル作成や動画編集などの経験や知識が無くても、現場での運用が容易となっている。外国人ドライバーだけでなく、長い教育機関を取ることができないスポットワーカーへの対応としても、これからの物流の現場に求められる機能といえそうだ。

省力化しながら、法定の管理の記録と保管をやり切るにはDXが必須

また、2024年10月からは自動車運送事業者への行政処分が厳格化された。「監査において最も厳しく見られるのは教育、点呼、改善基準告示の3点。今年になって運送事業許可の更新制というトピックも出てきており、監査の際に不備がないように法に定められた記録とその保存などをしておくのは、これから運送業を健全に事業継続していこうとするなら必須の業務といえます」。小規模な運送業者では、社長自身がハンドルを握って輸配送業務を行っていて、バックオフィス業務まで手が回らないというケースも多いが、それでは事業継続できない未来はそこまで来ている。バックオフィス機能を強化しようとしても、事務処理をこなしてくれる人材の採用も今後ますます難しくなっていくのは間違いない。いざ監査が入った、更新のために点呼などの適正な記録を用意しなければならないという時のために、経営者は何をするべきなのか。マンパワーに頼らず、DXの導入によって、業務の負荷を増やさず、法にのっとってしっかりやり切るというのは現実的かつ賢明な経営判断と言えるのではないだろうか。

X Mileサービス情報

「ロジポケ」
https://logipoke.com/

「クロスワーク」
https://x-work.jp

「第6回 関西物流展」概要

会期:2025年4月9日(水)-11日(金)10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://kansai-logix.com

【X Mile 展示ブース情報】
カテゴリー:物流業務支援
ブース番号:B2-17