話題世界のロボティクス技術を駆使し、自動化を支援するソフトバンクロボティクス(東京都港区)は、4月9-11日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催する関西物流展に、主力の高密度自動倉庫システム「AutoStore」(オートストア)を軸とした自動化ソリューションを出展する。ここでは出展製品の中から、AutoStoreや搬送ロボット「PUDU T300」(プードゥーティー300)、業務用スマート清掃ロボット「Phantas」(ファンタス)など、多面的に自動化を支援する最新技術について、担当者の解説を交えながら紹介する。
スループット機能向上、進化した「AutoStore」を見よ
ソフトバンクロボティクスの主力製品であるAutoStoreは、「ビン」と呼ばれるコンテナを縦方向に高密度に積み上げ、限られた倉庫スペースを最大限に活用する自動倉庫システムの代表的存在。ビンを運ぶ赤い箱型のロボットの印象に加え、“AutoStoreといえば高密度保管”といった認識は日本でも広まってきたが、ブランド力が強すぎるためか、その機能が常に進化し続けていることは十分に認知されていない現状がある。

▲自動倉庫システムの代名詞となっている「AutoStore」
「『AutoStore』の特長はなんといっても高密度な保管効率だが、近年はスループット性能も大幅に向上している」。そう語るのは、ロジスティクス事業本部事業企画課の横山聖弥氏。スループット性能の向上により、従来のシャトル型システムと同等の出荷能力を実現するうえ、ロボットの運用アルゴリズムも最適化され、より多くの注文を短時間で処理できるようになった。人間工学に基づいた新型の作業ポートの導入により、操作性の向上も図られている。
AutoStoreは、これまで大規模物流施設を中心に導入が進んできたが、最近では中堅クラスの荷主や物流会社の関心も高まっている。導入に際しての障壁として考えられる設置スペースについても、AutoStoreの柔軟性がそれを解決すると強調する。「形状がT字やL字、トンネル構造など綺麗な立方体でなくても運用可能で、増設が容易なのもAutoStoreの特徴の一つ」(横山氏)

▲進化を続ける「AutoStore」の特長を語る横山聖弥氏
関西物流展では、今後自動化の推進を図っていく中堅・中小企業にも訴求していく構えだ。「自動倉庫はコスト面でハードルが高いと感じられがちだが、AutoStoreは必要な範囲からスモールスタートでき、段階的な拡張が可能。ソフトバンクロボティクス独自の柔軟なファイナンスプランも含め、中堅・中小企業でも無理なく導入できる仕組みを用意している」(横山氏)
積み下ろしなしで重量物搬送を自動化、安全性も担保
「PUDU T300」は最大300キロの重量物を搬送できる自律走行型ロボットで、倉庫内の搬送業務を大幅に効率化する。作業員が荷物を積み込む「配送モード」、設定したルートを巡回する「クルーズモード」、ラックごと荷物を持ち上げる「リフトモード」などの多様なモードを用意し、用途に応じた柔軟な運用を可能にしている。
▲重量物搬送が可能な自律走行搬送ロボット「PUDU T300」は表情も豊かだ

▲搬送作業での安全性確保の重要性を訴える谷口佑介氏
中でも注目は、小口商品が入ったコンテナやラックを搬送するリフトモード。FoodDX事業本部商品企画課の谷口佑介氏は「人手を介さずにラックごと荷物を移動できるため、積み込みや積み下ろしの手間を削減できる。物流現場の省力化に大きく貢献するだろう」と語る。
一方で谷口氏は、「倉庫での搬送作業でロボットと人が共存するためには、効率化だけでなく安全性の確保も重要となってくる」と指摘する。「PUDU T300は磁気テープ等のガイドを必要とせず、LiDAR(ライダー)やRGBDセンサーを活用した自律走行が可能なため、障害物を回避しながらスムーズに移動できる点も強みだ」(谷口氏)
優先順位が低い業務だからこそ、清掃の自動化を
「Phantas」は自動で倉庫内を巡回し、清掃を行うロボット。設定したルートあるいは指定したエリア内に沿って運行し、バキュームや水洗い清掃を組み合わせることで、安定した庫内環境を維持する。
▲充電ステーションとも連携する「Phantas」は清掃の完全無人化を実現する

▲清掃作業の自動化が全体最適につながると語る大澤拓也氏
「清掃は後回しになりがちだが、物流施設の環境維持には不可欠」。そう語るのは、 FMDX事業推進本部 パートナー推進課の大澤拓也氏。「特に人手不足が深刻化するなか、清掃業務をロボットに任せることで、作業員はより重要な業務に集中できる。Phantasは充電ステーションと連携し、自動で充電・運行を行うため、完全無人運用も可能だ」(大澤氏)
物流施設では清掃作業の優先順位が低くなりがちだが、Phantasを導入することで設備の維持管理を自動化できる。物流の「全体最適化」を実現するうえで、清掃の自動化も欠かせない要素となるだろう。
目指すはあくまで“物流全体の最適化”
自動化機器の「ディストリビューター」であるソフトバンクロボティクスが関西物流展で目指すのは、単なるロボット技術の展示ではなく、物流全体を効率化する包括的なソリューションを提示することにある。今回の展示では、実機デモを通じてロボット導入後の運用イメージを具体的に示し、企業が抱える課題に応じた最適な組み合わせを提案する。特に中堅・中小企業に向けては、補助金を活用した導入支援も提供することで、自動化のハードルを下げる施策を打ち出している。
物流が大きな転換期を迎えるなかで、ソフトバンクロボティクスが提案するロボットソリューション群は、次世代物流の有力な選択肢の一つとなるだろう。関西物流展は、その最新技術を実際に体験し、自社の課題解決にどのように活用できるかを確認する絶好の機会となるはずだ。
■高密度自動倉庫システム「AutoStore」
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/autostore/
■シン・AutoStore徹底解説セミナー(2025年4月3日開催)
https://j.softbankrobotics.com/l/650173/2025-02-26/h7qgkj
■工場・倉庫向け搬送ロボット「PUDU T300」
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/transport/t300/
■業務用スマート清掃ロボット「Phantas」
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/phantas/
会期:2025年4月9日(水)-11日(金)10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://kansai-logix.com
【ソフトバンクロボティクス 展示ブース情報】
カテゴリー:搬送/仕分け/ピッキング
ブース番号:A2-18