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TSR、中小零細企業の支払遅延が過去最多ペース

2025年3月28日 (金)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は28日、2024年度の取引先への支払い遅延状況の調査結果を発表した。24年度(4-2月)の支払い遅延件数は1149件に達し、前年度の1111件をすでに上回った。

資本金1000万円未満の中小・零細企業による支払い遅延は668件に達し、全体の58.2%を占めている。この数値は前年同期比27.4%の大幅な増加となり、経営基盤の弱い小規模事業者の経営状況悪化を示している。一方、資本金1000万円以上の企業における支払い遅延は478件にとどまり、前年同期比で0.6%減少した。この対照的な状況から、小規模企業の資金繰りが特に深刻化しており、経営基盤の脆弱性が浮き彫りとなった。

業種別の分析では、建設業が427件と全産業の中で最も多く、前年同期比で10.0%の増加。建設業の内訳を詳しく見ると、総合工事業が251件を占め、職別工事業が128件となっている。建設業に続く業種としては、道路貨物運送業が56件、飲食店が53件と上位に位置している。これらの業種に共通する特徴として、慢性的な人手不足の課題を抱えており、さらに原材料費や燃料費などの物価高騰の影響を直接受けやすい事業構造となっていることから、資金繰りの悪化による支払い遅延が特に目立つ傾向にある。

支払い遅延の月間平均件数は104.5件を記録し、統計開始以来初めて100件台に上昇したことが明らかになった。この数値は2021年度の89.9件から着実に上昇を続けており、過去3年間連続で前年実績を上回った。最近では金融政策の転換に伴う金利上昇も企業経営に新たな圧力を加え始めており、経営環境の一層の厳しさが浮き彫りになった。

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LOGISTICS TODAY編集部