ロジスティクス日本郵便が、保険や国債、投資信託など金融商品の販売のため、ゆうちょ銀行の延べ1000万人分の顧客情報を不正に流用していた問題で、両社の親会社の日本郵政は18日、グループ各社の再発防止策と取り組みについて金融庁と総務省に報告した。社員らに法令順守の徹底を図るとともに、顧客本位の対応につながるよう社員の評価方法も見直す。
日本郵便では、2007年の郵政民営化以降、事前に顧客の同意を得ずに口座残高などの情報を投資信託や国債、生命保険の販売に利用することが常態化していた。こうした販売方法は銀行法や保険業法に違反しており、昨年9月、同社は「非公開金融情報の不適切な利用があった」として、事案を公表して謝罪。調査を行った金融庁と総務省はことし3月、再発防止策を講じて取り組み状況を報告するよう各社に命じた。
同社は、長年、不適切な販売方法が続いた背景には、顧客本位の意識を浸透させないまま営業活動を優先したことや、数字での競争意識の強い組織風土だったことがあると分析。リスク認識力が不十分で、グループとしてのガバナンスも不十分だったとした。
このため、営業活動のルールを整備するほか、顧客本位の営業活動を徹底するため、社員の評価方法を見直し、人材育成にも取り組むとしている。また、リスク認識力やガバナンスの強化も図る。
組織体制ではコンプライアンス部門・募集管理部門の司令塔となるリスク・コンプライアンス統括部日本郵便に設置。かんぽ生命には、郵便局協働部を設置して、郵便局で適切な販売が行われているかを確認し、必要に応じて改善を要求する。ゆうちょ銀行にも営業活動の質を管理する郵便局営業室を設ける。
評価制度については、営業結果の数字に偏ることなく、顧客との信頼関係構築も合わせて評価できるよう見直し、来年度から評価に反映していく。
また、窓口影響のあるべき姿への理解を浸透するため、日本郵便ではことし6月から四半期に1回程度のペースで、営業担当者や管理職を対象とした研修を実施する。
同社は「グループの総力をあげて再発防止策の実効性を不断に検証しながら改革を継続し、顧客本位のサービスを提供できるよう全力で取り組む」などとしている。
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