調査・データ全日本トラック協会が25日に公表した2023年度版の「経営分析報告書」によると、トラック運送事業者の同年度の営業収益(貨物運送事業収入)は1事業者平均で2億6400万7000円と、前年度比4.0%増だった。全体の営業損益や経常損益も前年度よりわずかに改善しており、市場でのトラック運賃・料金の価格転嫁の進展がうかがえたものの、20両以下の事業者は依然として営業損益率がマイナス圏にとどまるなど、業績回復が遅れている実態が浮き彫りとなった。
22年10月から24年8月までを対象期間とする23年度決算(有効数2451事業者)の「一般貨物自動車運送事業報告書」に基づき、トラック運送事業者の決算と経営状況を検証した。同調査は1992年度にスタートし、今回で33回目。
23年度の営業損益は0.6%で前年度よりも0.6ポイント、経常損益は2.2%で同0.4ポイント改善した。営業損益ベースで黒字だった事業者は51%(1256事業者)、経常損益ベースで黒字だった事業者は61%(1496事業者)。ただし、車両10台以下の区分では、営業赤字が52%、経常赤字が46%に上るなど、中小零細規模の事業者は厳しい経営を強いられている様子が明らかとなった。
全ト協では「運賃や諸料金の引き上げによる価格転嫁が引き続き緩やかに進行しているものの、運送原価の上昇が価格転嫁を上回るため、多くの事業者の経営状況は改善まで至っておらず、深刻な状況が続いている。業界の大半を占める20両以下の事業者は運送原価上昇分に係る運賃転嫁が十分でないことから、営業損益率が依然マイナス圏にとどまり、業績回復は大幅に遅れ、厳しい経営を余儀なくされている。このため、原価上昇分を運賃に転嫁するため、法令改正などによる支援を含め、継続的な輸送が確保できるよう支援策を一段と拡充する必要がある」としている。
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