話題物流業界においてことし4月から実運送体制管理簿の作成が義務付けられた。これは荷主からの依頼が複数の業者を経由して最終的に実際の運送会社へと至る経路を把握・管理するための制度だ。まだ対応が進んでいないユーザー・ベンダーも多いが、Azoop(アズープ、東京都港区)は運送会社向けシステム「トラッカーズマネージャー」をいち早く対応させた。一部のユーザーからは新制度への対応についての問い合わせも増えている。

▲(左から)Azoopプロダクト本部の永⼭誠也氏、プロダクト本部プロダクトグループの石橋貴弘氏
実運送体制管理簿作成には対応済み
アズープが提供するトラッカーズマネージャーは、すでに多数の運送業者で導入され、3万台の車両管理に活用されており、実運送体制管理簿への対応も完了している。同社の開発を担当するプロダクト本部プロダクトグループの石橋貴弘氏は「トラッカーズマネージャーでは、実運送体制管理簿の出力は、一般的な業務で入力されるデータから自動的に作成できる」と説明する。
トラッカーズマネージャーでは、実運送体制管理簿を作成する際、日々の業務で入力している配車・運行データを活用して簡単に出力できる仕組みを導入。ユーザーは配車管理画面から荷主情報、請負階層、実運送会社などの項目を入力し、これらのデータをもとに実運送体制管理簿を自動生成することが可能だ。
配車管理機能では、荷主からの依頼情報を案件として登録し、実際にどの品目を誰がどこからどこへいつ運ぶのかという基本情報を管理できる。今回の法改正に対応し、実運送体制管理簿に必要な請負階層や実運送会社の項目も設けられている。
各荷主に合わせた書式での出力も可能
システムは指定された期間や取引先ごとにデータを絞り込み、国交省の指針に準拠した形式でCSVやエクセル形式での出力に対応している。荷主企業ごとに異なる形式での提出が求められる場合も、基本データを抽出してカスタマイズできるため、運送会社の事務負担を大幅に軽減できる点が特徴となっている。
入力項目は、できるだけ運送会社の現場で使いやすいよう設定。例えば、荷主ごとに請求項目(駐車場代など)の出し分けができるなど、現場の業務実態に合わせた機能が実装されている。
強みの「車両管理」を起点に経営改善
「元々は車両オークションサービスを展開していた知見があり、車両管理の部分に強みがある」と語るのは同社プロダクト本部の永⼭誠也氏。車両の修理履歴や整備履歴を細かく記録でき、将来的な売却時の査定額も画面上で確認できる機能を備えている。この車両管理の強みを生かしながら、運送業務全般を管理できるシステムへと発展させてきた。
トラッカーズマネージャーは、車両ごとの収益性を可視化する機能を実装。経営判断の重要なツールとなっている。システムでは車両別に走行距離や稼働率、売上高などの収入情報と、車両維持費、燃料費、修理費、減価償却費などの経費情報を一元管理することで、各車両の収支状況をリアルタイムで把握できる。これにより運送会社は「どの車両がどれだけ稼いでいて、どれだけコストがかかっているか」を正確に分析でき、車両ごとの利益率や採算ラインを明確化できる。
さらに、同システムは車両オークションを運営する同社ならではノウハウを生かし、「出品」ボタンをクリックするだけで同社の営業担当者から連絡が入り、査定から売却までをワンストップで進められる機能も備えている。画面上では車両ごとの相場価格も表示されるため、運送会社は最適なタイミングでの売却判断が可能となり、車両資産の効率的な入れ替えによる経営改善に役立てることができる。
マンパワー不足でシステムを導入できない企業にBPOサービスを提供
デジタルシステムを入れれば効率化できるとわかっていても、それを使いこなせる人材やマンパワーがいないために導入に踏み切れない会社も少なくない。そこで同社は、各種データ入力を代行するBPO(業務委託)サービスを提供。中小規模の運送会社では事務員を増やすコストを避けつつ、しっかりとした管理の実現をサポートしている。
最新の制度にも対応しながらデータドリブンな経営改善を支援するアズープ。デジタル化にキャッチアップできていない中小企業も取り残さないBPOでの支援なども提供し、物流の現場の実情に寄り添った製品・サービスを提供している。ほかの産業に比べてデジタル化が遅れている物流業界への現実的な解答は、同社のような企業が持っているのかもしれない。
■問い合わせ先
担当:荒井氏(直通:070-8811-4267)