調査・データ米総合不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)は4月28日、今年1月から3月のアジア太平洋地域の商業用不動産投資額は前年同期比20%増の363億ドルになったとするレポートを公表した。米国の関税の影響にも関わらず、工業・物流セクターを除く全セクターで投資活動が増加し、前年同期比で6四半期連続の成長となった。
同社によると、クロスボーダー投資額は前年同期比52%増の86億ドルとなった。海外投資家に人気なのは、オフィスや物流施設、賃貸住宅で、特に日本のオフィスとリテール(商業施設や店舗)の大型物件が注目されている。また、シンガポールの投資家の海外オフィス、物流施設、ホテルへの投資が目立った。
日本への投資は前年同期比20%増の137億ドルで、第1四半期の投資額としては直近5年間で最高水準を記録した。日本は金融政策の変更で金利上昇サイクルに入った後も、全セクターで利回りがプラスだったことから、アジア太平洋地域で海外投資が最も多い市場となった。
米国トランプ政権による関税引き上げの影響については「GDP成長の鈍化が各国に影響を与え、ベトナムやマレーシア、韓国などの米国輸出に依存する市場が最も大きな影響を受けると予想される」と指摘。「成長期待の低下と景気後退の懸念は、全不動産セクターにおける賃貸借と投資活動に影響を及ぼす可能性があり、さらに、雇用の伸びはオフィス需要に、消費支出は小売売上に影響し、小売店舗のリーシングに影響を及ぼす」としている。
特に、物流セクターは、貿易の縮小や物流ルートの変更による在庫要件の転換などの影響を受けることが予想されるとした。日本で総取扱貨物量が最も多い名古屋港近くの倉庫では、自動車部品の35%を米国に輸出していることから、取り引きで不利な影響を受ける可能性がある。
一方で、アジア太平洋地域内の貿易は、成長を続ける中間層でのEC(電子商取引)の普及などに下支えされ、依然として底堅い状況だと見ている。
日本の不動産市場について同社は「クロスボーダー投資家の日本市場への投資意欲はかつてないほど高まっている。旺盛な投資意欲を背景に、今後も日本の不動産投資額は堅調に推移するものと予測される」としている。
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