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AZ-COM丸和、28年に売上2800億円目指す新中計

2025年5月12日 (月)

財務・人事AZ-COM丸和ホールディングスは12日、2025年3月期の連結決算を発表するとともに、26年3月期から28年3月期までの3か年を対象とする新たな中期経営計画「中期経営計画2028」を策定したことを明らかにした。25年3月期は増収ながらコスト増などで大幅減益となったが、新中計では「環境変化に強い高収益企業づくり」を掲げ、最終年度の28年3月期に連結売上高2800億円、経常利益200億円(経常利益率7.1%)の達成を目指す。EC(電子商取引)物流、低温食品物流、医薬・医療物流を核に、BCP物流を加えた事業拡大と収益性向上を推進する。

25年3月期は増収減益、EC・3PLは拡大もコスト増響く

25年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の2083億7000万円となった。EC常温3PL事業が大手ネット通販向け大型拠点の新規開設や既存取引先の物量増で同18.2%増の644億8600万円、低温食品3PL事業も新規センター開設などで同9.8%増の242億3900万円、医薬・医療3PL事業も同12.0%増の241億5100万円と、3PL事業の各ドメインは好調に推移した。ラストワンマイル事業もM&A効果などで同2.9%増の393億5000万円となった。

一方で、EC常温輸配送事業は、前期の大型拠点閉鎖に伴う輸送数減少が影響し、同10.3%減の533億7100万円だった。

利益面では、営業利益が同20.8%減の109億6900万円、経常利益が同19.7%減の116億4500万円、最終利益は同20.1%減の72億8400万円と大幅な減益。新規拠点開設や統廃合に伴う一時費用、人件費や傭車費などの各種コスト上昇、株式公開買い付け関連費用などが影響した。

新中計「2028」で高収益企業へ、3年間で戦略投資500億円

新たに策定した「中期経営計画2028」では、28年3月期に売上高2800億円(25年3月期比で年平均成長率10.4%)、経常利益200億円(同19.9%)、経常利益率7.1%を目標に掲げた。「小売業に特化した3PL&プラットフォームカンパニーの実現」を目指し、「環境変化に強い高収益企業づくり」「グループ機能の強化・再編」「オペレーションの進化(標準化・DX)」「新規事業開発と既存事業再成長(M&A含む)」「経営資源の強化」を重点施策とする。

▲「中期経営計画2028」の業績数値目標(丸和ホールディングス「『中期経営計画2028』の策定に関するお知らせ」から引用)

この3年間で、拠点・設備に330億円、車両に40億円、DXに40億円、人的資本・ESGに20億円など、計500億円規模の戦略投資を実行する計画だ。

具体的な事業戦略としては、輸配送事業ではTMS(輸配送プラットフォーム)導入による可視化・効率化、AZ-COMネットワークやパートナー企業の小型車を活用した物流プラットフォームの開発・運用、複数拠点の配車機能を集約する管制センター化を進める。3PL事業では、専用センターごとの業務手順やマネジメント手法が異なっていた課題に対し、業務標準化とテクノロジー投入によるKPIマネジメントを確立し、省人化・省力化を目指す。

大型新拠点「AZ-COM Matsubushi EAST」が成長けん引

成長の核となるのが、25年10月以降に稼働予定のグループ最大規模の自社物流施設「AZ-COM Matsubushi EAST」(埼玉県松伏町、総投資額230億円)だ。小売業や食品関連を主要ターゲットとし、BCP物流機能(免震構造、非常用発電機、30万リットルの燃料備蓄)も備える。この新拠点の安定稼働と、既存センターの生産性向上で、EC常温3PLおよび低温食品3PL事業のさらなる拡大を図る。

▲「AZ-COM Matsubushi EAST」(出所:丸和ホールディングス)

各ドメイン別の28年3月期売上高目標は、EC常温輸配送事業990億円(年平均成長率22.9%)、EC常温3PL事業1050億円(同17.7%)、ラストワンマイル事業440億円(同3.8%)、低温食品3PL事業340億円(同12.0%)、医薬・医療3PL事業270億円(同3.9%)。

▲ドメイン別の売上高目標

収益性改善に向けては、新規拠点稼働や既存拠点の稼働率向上による売上成長に加え、高い物流品質を維持・向上させながらの段階的かつ定期的な価格改定、業務標準化・DX推進や日次決算マネジメントによる売上原価率の低減(25年3月期比0.5ポイント改善目標)、業務棚卸しによるノンコア業務のシェアードサービス化などによる販管費率の低減(同1ポイント改善目標)に取り組む。

26年3月期の連結業績予想は、売上高2200億円(前期比5.6%増)、営業利益119億円(同8.5%増)、経常利益120億円(同3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益73億円(同0.2%増)を見込んでいる。

丸和運輸機関新社長に平野氏、和佐見氏は会長に

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