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公取委、24年度の下請法運用状況と取引適正化の取組

2025年5月12日 (月)

行政・団体公正取引委員会は12日、2024年度における下請法の運用状況および中小事業者などの取引適正化に向けた取組を公表した。

2024年度の勧告件数は21件で、違反行為の内訳としては不当な経済上の利益の提供要請が11件、下請代金の減額が8件などとなっている。指導件数は8230件に達した。

下請事業者が被った不利益については、親事業者149人から下請事業者3026人に対し、下請代金の減額分の返還など、総額13億5279万円相当の原状回復が行われた。

また、親事業者からの違反行為の自発的な申出は32件あり、これにより下請事業者525人に対して、総額3億5328万円相当の原状回復が実施された。

公正取引委員会は、適切な価格転嫁を日本の新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させるため、2024年7月以降、中小企業庁との共催で「企業取引研究会」を6回開催し、同年12月25日に報告書を公表。これを踏まえ、「下請代金支払遅延等の防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」が2025年3月11日に国会提出された。改正案には協議を適切に行わない代金額の決定の禁止、手形による代金支払の禁止などの措置が盛り込まれている。

2024年度の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査では、11万人を超える事業者に対して書面調査を実施。調査の結果、労務費転嫁指針に沿った行動を採らなかった発注者9388人などに対して注意喚起を行った。

さらに、個別調査の結果、2025年3月14日には相当数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置きなどが確認された事業者3人の名前を公表した。

下請法上の買いたたきの解釈・考え方を明確にするため、2024年5月27日に「下請代金支払遅延などの防止法に関する運用基準」を改正。また、手形などが下請代金の支払手段として用いられる場合の指導基準を変更し、サイトの基準を業種を問わず60日とした。

2024年度の下請法に関する相談は17883件、優越的地位の濫用に関する相談は5073件で、計2万2956件の相談に対応した。また、中小事業者が匿名で情報提供できる各種フォームを通じて、多数の違反行為情報が寄せられている。

毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め、2024年度は「賃上げと 労務費転嫁を 両輪に」を特選キャンペーン標語として選定した。また、下請法などに関する各種講習会や動画配信を実施し、親事業者に対する年末要請も行った。

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LOGISTICS TODAY編集部
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