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セミナー「物流革新2025~人手不足時代のロジスティクスDX戦略~」12/16開催

2030年の物流崩壊は回避できるか?官民のDX動向

2025年11月21日 (金)

荷主2024年問題への対応としてことし5月に改正物流法が施行され、物流業界は新たなフェーズに突入した。しかし、表面的な法規制の適用だけで現場の景色が一変するわけではない。経済産業省が警鐘を鳴らす「2030年の輸送能力不足」という危機的シナリオは、既存の延長線上の対策だけでは回避できない構造的な課題として存在し続けている。その解決には、荷主と物流事業者が連携し、従来の商慣行や低積載率といった非効率な構造を根底から覆す必要がある。

MONOistは12月16日、ロジスティクスDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状と課題解決策を探るライブ配信セミナー「物流革新2025特別編集版~人手不足時代のロジスティクスDX戦略~」を開催する。好評を博した6月のイベントの再演となる本セミナーでは、物流政策のかじ取りを担う経済産業省と、自社物流の抜本的改革を成し遂げたオリンパスが登壇。「政策」と「現場」、それぞれの視点から見えてくる物流革新の現在地と未来図を提示する。

経済産業省 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 物流企画室 室長補佐の大西智代氏

基調講演の1人目は、経済産業省 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 物流企画室 室長補佐の大西智代氏(所属は6月セミナー開催時のもの)が「経済産業省の物流政策について」と題して物流業界の深刻な課題と対策の全体像を解説。「物流の2024年問題」の背景として、小口多頻度化、40%以下の低積載率、トラックドライバーの長時間労働・低賃金、そして深刻な人手不足を指摘。何もしなければ2030年には34.1%の輸送能力不足が懸念されるとしている。これに対して政府は改正物流法で荷主・物流事業者に物流効率化の努力義務を課すとともに、一定規模以上の「特定事業者」には中長期計画の作成や、社内外連携の「外交」役となる「物流統括管理者(CLO)」の選任を義務付けるなど、規制的措置を導入。さらに、複数企業連携による物流DX・自動化を支援する実証事業や、物流コストインフレへの究極的な対策として、企業間で物流資産をシェアする「フィジカルインターネット」の実現に向けたロードマップも推進。業界別・地域別での標準化や共同化の議論が進んでいる現状を提示している。

オリンパス サプライチェーンマネジメント 日本地区 物流統括 ロジスティクスフェロー/シニアエキスパートの原英一氏

もう一つの基調講演には、DXによる物流現場の改善に早くから取り組んできたオリンパスが登壇。同社サプライチェーンマネジメント 日本地区 物流統括 ロジスティクスフェロー/シニアエキスパートの原英一氏が「現場から生まれたDXとその実装プロセス~デジタルな時代だからこそ~」と題して講演を行う。同社は医療ビジネスモデルの変化に伴う「多頻度・小ロット化」により、物流コスト増や人手依存による持続性の危機に直面。対策として「スピードUP」「省人化」「保管効率向上」を目標に自動化プロジェクトを発足。他社事例研究や現場での議論を経て、企画から設計までを自社リソースで推進。製品特性を分析し、3種の自動倉庫(AutoStore、バケット自動倉庫、ユニシャトル)を統合WCSで連携させるGTP(Goods to person)システムを構築している。さらに「物流2024年問題」への対応として、荷主の責任で「貨物容積の圧縮」に着手。2025年に自動梱包機を導入し、梱包箱の高さを自動で最適化することで梱包空間率を17%削減し、輸送効率化(減車)にも貢献した。「カイゼン」と「テクノロジー」の融合、そして目標から逆算する思考により、設定した定量的な目標(出庫行数38%UP、運営コスト31%削減など)を全て達成したプロセスと成功要因を具体的に解説している。

現場の生産性を劇的に高める「実効性のある物流変革」は、政策によるマクロな環境整備と、企業個社によるミクロなDX実践の融合によって達成される。本セミナーは、官民双方の視点から持続可能な物流への道筋を共有する絶好の機会となるだろう。

開催概要

セミナー名:物流革新2025特別編集版~人手不足時代のロジスティクスDX戦略~
会期:2025年12月16日(火)13時~16時30分
形式:ライブ配信セミナー
主催:アイティメディア MONOist
集客協力:LOGISTICS TODAY
参加費:無料
申込期限:2025年12月16日(火)14時

詳細・申込