ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運送業景況感、米国関税と人材難でマイナス拡大

2025年5月19日 (月)

調査・データ全日本トラック協会は19日、「第129回トラック運送業界の景況感速報(2025年1-3月期)」を発表した。調査では、輸送数量は増加傾向を示したものの、燃料価格の高止まりと物価高による輸送原価上昇分を価格転嫁できず、営業利益・経常利益がマイナスに推移。業況判断DIは前回比マイナス0.5ポイントで、マイナス18.2からマイナス18.7となった。

今期の実働率はマイナス1.8(前回マイナス0.6)でマイナス1.2ポイント、実車率はマイナス2.7(前回0.6)でマイナス3.3ポイントとなった。運転者の採用動向はマイナス27.6(前回マイナス4.5)でマイナス23.1ポイント、雇用動向(労働力不足感)は91.1(前回84.4)でプラス6.7ポイントと、人材不足感が一層深刻化。所定外労働時間はマイナス37.3(前回マイナス35.1)でマイナス2.2ポイント、貨物の再委託(下請委託率)はマイナス14.2(前回マイナス1.9)でマイナス12.3ポイント、経常損益はマイナス20.4(前回マイナス2.6)でマイナス17.8ポイントとなった。



(クリックで拡大、出所:全日本トラック協会)

一般貨物部門では、運賃・料金水準が34.3(前回47.1)でマイナス12.8ポイント、営業利益はマイナス23.7(前回マイナス9.2)でマイナス14.5ポイント。一方、輸送数量は1.9(前回1.3)でプラス0.6ポイント、営業収入(売上高)は4.3(前回3.3)でプラス1.0ポイントとなった。特積貨物部門では、運賃・料金水準が40.5(前回38.7)でプラス1.8ポイント、営業収入が5.4(前回3.2)でプラス2.2ポイント、営業利益はマイナス2.7(前回マイナス3.2)でプラス0.5ポイントとなった。

事業者規模別では、大規模事業者が16.1(前回21.1)でマイナス5.0ポイント、中規模事業者がマイナス22.6(前回マイナス21.6)でマイナス1.0ポイント、小規模事業者がマイナス26.6(前回マイナス26.2)でマイナス0.4ポイントとなった。品目別指標では、消費関連貨物がマイナス12.8(前回マイナス8.6)、建設関連貨物がマイナス16.7(前回マイナス25.0)、機械関連貨物がマイナス14.3(前回マイナス31.6)、その他貨物がマイナス15.9(前回マイナス29.6)となった。

地域別では、今期は北海道、関東、北陸信越、中部、四国がプラス推移する一方、東北、近畿、中国、九州はマイナスとなった。来期予想では全地域でマイナスが拡大する見込みだ。全体見通しでは、米国関税政策の影響、人材不足、物価上昇が重なり、景況感はマイナス18.7からマイナス26.2へとマイナス7.5ポイント悪化する見込み。

同協会は、景況感のマイナス推移の主な要因として、輸送原価上昇分の価格転嫁の遅れ、米国関税政策を背景とした事業環境の不透明化、人材不足を挙げている。今後も業界は採用難と収益マイナスなど、厳しい経営環境が続く見通しだ。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com