行政・団体公正取引委員会は28日、昨年度に各地域の独占禁止政策協力委員から聴取した意見や要望のまとめを発表した。中小企業やフリーランスとの取り引きの適正化に向けた公取委の役割に期待する声が多く聞かれた。
公取委は、競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した競争政策を進めるため、各地域の有識者に独占禁止政策協力委員(150人)になってもらい、懇談会などを開いて独禁法の運用や競争政策などについて意見や要望を聞いている。
昨年度の寄せられた意見では、近年、公取委が力を入れている中小企業やフリーランスとの取り引き適正化に関するものが多かった。「トラックの運転手が、配送先に荷物を運搬した際に、荷下ろしまで求められるのは理不尽。引き続き荷主と運送事業者の取り引き適正化に努め、最終的には運転手が適正な賃金をもらえるような環境を整備してほしい」(北海道・消費者)という意見があったほか、「昔は、小売業者の新規開店の際に無償で従業員の派遣を要請するのは当たり前で、代金の不当な値引きも日常茶飯事だった。しかし、不正な行為を行う取り引き先はつぶれていき、きちんとした取り引きを行う企業が生き残っている」(中部・経済界)との声もあった。
また、「以前は、取り引き価格の引き上げを持ちかけると、『取引を打ち切る』と言われたこともあったが、今は交渉に応じてくれるようになった。昔は原材料費の値上げすら認めてもらえなかった」と取り引き環境が変わりつつある声もあった。
しかし、「取り引き先の上層部は価格を引き上げると言ってくれるが、現場の担当者は、価格を引き下げることで評価が上がると思っているのか、価格転嫁を受け入れてくれない」(中部・経済界)、「燃料費などのコスト上昇について運送事業者の価格交渉が困難である理由は、運送業界における多重下請け構造が原因。下請け運送事業者は、荷主と直接価格交渉を行うことができないため、運賃の値上げを認めてもらうことはかなり厳しい」(中国・経済界)などと、取り引き環境の改善が進んでいないとの声もあった。
このほか、「取り引き上の不当な行為を受けている事業者が公取委に情報提供したいと思っても、情報提供したことを特定され、取り引きを切られてしまうことを恐れている。そうした不安を解消できるような方策を検討してほしい」(近畿・経済界)と通報者の保護を求める声もあった。
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