調査・データ野村不動産ホールディングス(HD)は3日、同HDの中核企業である野村不動産、NX総合研究所(東京都千代田区)、Mujin Japan(江東区)と共同で、経済産業省が主導する「令和6年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」における物流施設自動化のためのカートラックモデルケース創出を目的とした実証事業を発表した。
本事業は卸売業・小売業・運輸業が利用するカートラック分野において、自動化機器を最大限活用できる標準仕様、使用環境、運用方法を策定し、現場実装可能なモデルケースを確立するのが目的。2024年から本格的な実証が始まり、産業界の喫緊の課題である「物流の効率化および労働力不足問題の解決」に対応する。
野村不動産は、AGV(無人搬送車)とAMR(自律走行搬送ロボット)の導入および実証のためのフィールドを提供した。具体的な検証項目として、「カートラックの連結搬送の可能性」「直線およびカーブ時の最大走行速度と重量限界」「偏荷重や積載方法が安定性に及ぼす影響」の技術検証を主導。さらに、AGV・AMRの調達から現場構築、運用検証まで一貫して担当した。

▲AGV・AMR によるカートラックの搬送実験の様子(出所:野村不動産)
NX総合研究所は実証の全体設計・監修を担当。カートラックの自動化機器導入とその最大活用に向け、「標準仕様」「使用環境」「運用方法」を定量的に検証し、業界全体に普及可能なモデル策定を主導した。各検証データの分析や現場改善のための設計指針、運用モデルの具体化において中心的な役割を果たした。
Mujin Japanは、自社のAI(人工知能)技術搭載ロボットアームを提供し、自動化機器によるカートラックへの積み付け自動化の実証を担当。「完全自動積み付けのためのカートラック寸法適合性」「積載物の種類による自動積み付け効率の違い」「単載と混載時の自動化効率差」などの定量的検証を実施。搬送ロボットとの連携による効率化効果やAIシステムの有効性を実証し、自動化に向けた障壁の低減に貢献した。

▲ロボットアームによるカートラックへの自動積みつけ実験の様子(出所:野村不動産)
本実証を通じて、AGVやAMR導入に必要な走行性能、積載仕様、ロボット積み付けの最適基準、標準運用モデルの指標が明確になった。「搬送・積載双方におけるデータに裏打ちされた安全性・効率性」「多品種少量にも対応できる柔軟なロボット運用モデル」などの成果が、標準化と業界普及への足がかりとなることを示唆した。今後、各実証データは経済産業省の委託調査報告書として公開する。
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