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ロジザードが出す第3の答え、アドオン開発で未来を育てるWMS戦略

WMS選びの正解は「標準」か、「カスタム」か

2025年7月15日 (火)

話題共同配送や標準化、他社との在庫連携など、サプライチェーンの“つながり方”そのものが再設計されつつある今、倉庫管理システム(WMS)の役割も、単なる「在庫管理」から、企業と企業、経営と現場をつなぐ「戦略的な起点」へと大きく変化している。

この変革期に、多くの企業が「2025年の崖」という待ったなしの課題に直面している。これは、経済産業省が警鐘を鳴らす問題で、複雑化・老朽化した既存のITシステム(レガシーシステム)を刷新できなければ、2025年以降、国内で最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるというものだ。長年使い続けたオンプレミスの基幹システムやWMSが限界を迎え、そのリプレイスは、まさに避けて通れない経営課題なのである。しかし、どのWMSを選べば、不確実な未来の事業環境にも耐えうる「持続可能な物流」を構築できるのか。その明確な答えを見出せずにいる企業は少なくない。

クラウドWMS導入拠点数でトップを走り、国内外1800以上の現場で稼働実績を誇るロジザードは、この問いに対して「標準か、カスタムか」という二者択一ではない、「第3の答え」を提示する。同社の取締役営業部長である亀田尚克氏に、これからのWMS選定の要諦と、同社が描く「つながるWMS」の未来像について聞いた。

▲ロジザード 取締役 営業部長 亀田尚克氏

崖っぷちのレガシーシステム、標準化へ向かう現場のリアル

亀田氏は、WMSリプレイス市場の現状をこう分析する。「社内では、2025年の崖は28年頃まで続くと見ています。多くの企業が、崖がすぐそこにあると分かっていながら、その対応を先延ばしにしているのが現状ではないか」。問題の根幹にあるのは、これまで多くの企業で、基幹システムとWMSが明確に切り分けられてこなかったことだ。特に製造業や卸売業では、物流機能は「生産・販売の後始末」と見なされ、基幹システムの付属機能として構築されてきたケースが多い。だが、その基幹システムを支えてきた技術者の高齢化と枯渇により、システムの維持自体が困難になっている。

「物流要件は、オムニチャネル化や自動化への対応など、年々複雑化している。もはや基幹システムの延長線上では対応しきれず、物流領域を切り出してWMSで管理しようという動きが加速している」(亀田氏)

この流れの中で、かつては自社の業務に合わせた「オーダーメイド」のシステムを志向した企業が、「標準環境」へと回帰する動きが顕著になっていると亀田氏は指摘する。

「過去に多額の投資をして個別開発のシステムを導入したお客様から、『ロジザードの標準環境に戻りたい』というご相談がここ数年で非常に増えている。その背景には深刻な人手不足がある。物流を維持するためにはロボティクスや省人化への投資が不可欠であり、そのためには特定の業務に最適化されたガラパゴスなシステムではなく、様々な機器やシステムと柔軟に連携できる“標準的な土台”が必要だと、多くの企業が気づき始めている」(亀田氏)

自社の事業戦略が必ずしも明確に定まらない中でも、業界標準のクラウドWMSに乗っておくことが、将来の環境変化に対応するための「ベターな選択」であるという認識が、今や荷主企業の間でも広がりつつあるのだ。

「標準+アドオン」という第3の答え、育てるWMSの真価

しかし、標準的なクラウドWMSを導入する際には、必ず「フィット&ギャップ」という問題がつきまとう。標準機能だけでは、自社固有の複雑な業務プロセスを100%カバーできない部分がどうしても出てきてしまうのだ。このギャップを埋めるために、結局大幅なカスタマイズを施し、クラウドのメリットであるはずのバージョンアップの恩恵を受けられなくなる、という本末転倒な事態に陥るケースも少なくない。

このジレンマに対し、ロジザードが提供するのが「アドオン開発」というユニークな解決策だ。亀田氏はこの手法の価値を次のように説明する。

「アドオン開発とは、ロジザードZEROの標準機能を一切いじらずに、その“外側”にお客様専用の機能を付け加える開発手法である。これにより、お客様固有の課題をピンポイントで解決しながら、標準機能の定期的なバージョンアップの恩恵はそのまま受け続けることができる」

ロジザードが提唱する「三段ロケット」アプローチはこうだ。まず、標準機能をできるだけ活用して「ノンカスタマイズでスピード導入」する。次に、現場の課題が見えてきた段階で「アドオンで機能補強」を行う。そして、クラウドのメリットを活かした「自動アップデートで陳腐化を防止」する。このサイクルが、事業フェーズに合わせて常に“現場にフィットしたWMS”を提供できる理由なのだ。

▲ロジザードが提案する”育てるWMS” (クリックで拡大)

「過去にオーダーメイド開発で失敗した経験を持つお客様ほど、この『標準の良さを享受しながら、個別課題も解決できる』という“いいとこ取り”の価値を高く評価してくださる。我々も、お客様が標準機能に合わせられないからといって諦めるのではなく、このアドオンという選択肢を提示することで、多くの現場の課題を解決してきた」(亀田氏)

「出荷絶対」を支える“つながる力”

これからのWMSに求められるのは、間違いなく「つながる力」だ。ロジザードは、自社のWMSを「誰かと繋がらないと価値がない」と断言する。WMSを“起点”として、基幹システムはもとより、WES・物流ロボット・TMS・BIツールなどさまざまなシステムとAPI連携を強化することで、サプライチェーン全体の課題解決を目指している。

「物流業界のサービスは簡単ではないので、物流業界へのサービス品質に不安がある企業と連携して、お客様の出荷を止めてしまうことは絶対にあってはならない。だからこそ、連携するパートナーは、我々と同じ価値観、つまり“出荷絶対”を共に守れる企業かどうかを重視している」(亀田氏)

この姿勢は、ユーザーにとって、ロジザードが信頼できるパートナーを事前に選定してくれているという安心感にも繋がっている。

人に頼らない現場へ。WMSを起点とした改善サイクル

ロジザードがWMSを通じて目指すのは、単なる省人化ではない。「人に頼らない現場」、すなわち、現場が自律的に改善し続ける状態の構築だ。その実現の鍵を握るのが、「データ活用」「自動化」「拡張性」という3つの要素からなる改善サイクルである。

まず、WMSに蓄積された入出荷・在庫・作業実績をBIツールなどで「データ活用」し、リアルタイムで可視化する。これにより、人の勘や経験に頼らない“数字で動く現場”が実現し、ボトルネックが明確になる。次に、その課題に対してRFIDや物流ロボットと連携し、ピッキングや搬送といった工程を「自動化」する。これにより作業品質は均質化され、生産性は向上する。

そして、最も重要なのが「拡張性」だ。事業が成長し、新たな課題が生まれても、前述のアドオン開発によって柔軟にシステムを拡張できる。このサイクルを回し続けることで、システムは陳腐化することなく、現場と共に成長していく。この三位一体の好循環こそが、人手不足時代でも“止まらない物流”を支える原動力となるのだ。

(クリックで拡大)

未来を育てるWMSへ、10月のセミナーで「次の一手」を

ロジザードが目指すのは、単なる倉庫管理の効率化ではない。WMSに蓄積されたデータを活用し、現場が自ら改善を続けられる仕組みを構築することだ。亀田氏は、「データを可視化し、どこにボトルネックがあるのかを把握することが第一歩となる。その上で、ロボットによる自動化や、より効率的な業務プロセスの構築へとつなげていく。我々はそのための“起点”となるWMSを提供し続けたい」と語る。この思想を体現するべく、ロジザードは来る10月に「いまこそ脱・レガシー!基幹×クラウドWMSリプレイス成功セミナー」(仮題)と題したセミナーを企画している。

このセミナーでは、ロジザードが提供するクラウドWMS「ロジザードZERO」が、データ活用、自動化、そしてアドオン開発による拡張性を武器に、いかにして限られた人材を価値ある仕事へシフトし、物流オートメーションで”人手不足”を”人が輝く”チャンスに変える現場を実現するかが語られる。EC物流から流通小売向けBtoB出荷、レンタル品管理まで、多彩なアドオン事例も紹介される予定だ。クラウドサービスでありながら、アドオンを載せても定期バージョンアップの恩恵をそのまま享受できるという、ロジザードならではの強みも詳しく解説されている。

レガシーシステムからの脱却と、持続可能な物流体制の構築は、もはや避けては通れない道だ。その「次の一手」を見つけるため、この貴重な機会に足を運んでみてはいかがだろうか。

セミナー情報

これまで「生産・販売の後始末」として基幹システムに組み込まれていた物流機能が、今や戦略的な競争力の源泉となっています。しかし、大掛かりにカスタマイズされたオンプレミスシステムからの脱却は容易ではありません。

本セミナーでは、成功の鍵となる「基幹システムとWMSのクラウド連携」ソリューションを具体的にご紹介します。従来のように基幹システムでWMS機能まで開発する手法と、専門WMSを分離する手法の比較検証を行い、ロジザードZEROと各種ERPの実際の連携事例もご紹介。CLO(最高物流責任者)時代に求められる戦略的物流を実現するための実践的なアプローチをお伝えします。

レガシーシステムからの脱却を検討されている方は、ぜひこの機会にご参加ください。

<詳細・申し込み>
https://e-ve.event-form.jp/event/107287/202510_erp

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