ロジスティクススピカコンサルティング(東京都港区)は22日、「DX × 物流業界を実現するM&A勉強会~これから生き残る企業になるための3つのポイントとは~」を開催した。
同社はM&Aのコンサルタント業務を行っているが、中でも物流業界に特化したコンサルティングに定評がある。今回は物流向けDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス「LIFTI」(リフティ)を提供しているUnivearth(ユニバース、大阪市北区)の谷口臨太郎社長と、同社が子会社化した智商運輸(岡山市東区)の河合智哉社長、三之丸通商(大阪府茨木市)営業部の中村寛部長が登壇。モデレーターはスピカコンサルティングの山本夢人氏が務めた。

▲(左から)スピカコンサルティング・山本夢人取締役、Univearth・谷口臨太郎社長
谷口氏はもともとトラックドライバーだったが、業界の非効率さを解消することを目指し、Univearthを創業。ことし4月に智商運輸、7月に三之丸通商を相次いで子会社化した。
なぜIT企業が運送事業者をM&Aするに至ったのかという山本氏からの問いかけに対し、谷口氏は「システムを作っても、現場での運用がどうなっているのかを把握しきれなかった」との背景を説明。「現場でどのように運用するのがベストなのか、実証をしたかった」と動機を語った。
Univearthが最初にM&Aした智商運輸の河合氏は「もともと日本はDXが遅れていると考えていた」とし、「谷口氏が構想しているシステムが自分の考えとマッチしていたことが事業譲渡への大きなきっかけとなった」と説明。しかし、それに至るには、「2年間の折衝が必要だった」とし、子会社化にはあくまでも慎重だったと語った。
山本氏からはさらに、「世間にはたくさんのデジタルシステムが存在し、全てを調べ尽くして導入するということはなかなか困難なのではないか」との問いかけがあり、「自分で情報収集するほか、同業の仲間からの情報共有なども必要」と河合氏が回答。中村氏は「運行管理業務と併せて自分も配送に出るため、情報収集はままならなかった」と当時を振り返った。

▲(左から)智商運輸・河合智哉社長、三之丸通商・中村寛営業部部長
M&A後の変化として河合氏は、大阪営業所を開設し、売上も順調に推移していることを紹介。Univearthからの営業支援もあることから、ITと実運送がミスマッチではなく、むしろ相乗効果が上がっていると説明した。中村氏も、「智商運輸の拠点が近くにできたことで、お互いのリソースを融通することができるようになり、業務の効率が上がっている」と語った。
また、Univearth側からのメリットとして、谷口氏からは「社内には物流業界を経験していないメンバーも多いが、運送業の現場を間近で見る機会が増えたことで、開発や営業の業務によい影響が出ている」との意見があった。
セミナー後の質疑応答では、「M&Aしたことで荷主に訴求できる部分はあったのか」との質問が出た。これに対しては河合氏から「2024年問題により、全国で「運べない」路線が増えた。M&Aによって福岡から関東までの中継輸送が可能になったことで、長距離の便が必要な荷主の仕事を獲得できている」との事例が紹介された。智商運輸では本社の岡山のほか浜松にも中継拠点があり、中国地方から関西・中京地方を経て大消費地の路線を開発している。
山本氏は、「荷主への訴求というと運賃に目が行きがちだが、それ以外のメリットを提案できるようになったのが、このM&Aの大きな成果だろう」と総括した。
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