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エア・ウォーター、松本市に資源循環の実証施設

2025年10月14日 (火)

荷主エア・ウォーターは10日、長野県松本市で建設を進めていた地産地消エネルギーを活用した資源循環モデルの開発・実証施設「地球の恵みファーム・松本」が完成し、同日から本格稼働したと発表した。未利用バイオマス資源を有効活用したエネルギーや電力の製造、熱やCO2を活用した養殖や農業、廃棄物の製品化といった資源循環モデルの実現を目指す。

施設は敷地面積1万平方メートルで、「バイオマスガス化プラント」「メタン発酵プラント」「スマート陸上養殖プラント」「スマート農業ハウス」の4つの設備と、在来種のシラカバ、ブナ、クヌギなどを植林した「里山ゾーン」を整備した。

▲「地球の恵みファーム・松本」全景(出所: エア・ウォーター)

バイオマスガス化プラントでは、竹やせん定枝などの未利用資源を人工のまき(ブリケット)に加工し、それを原料に発電を行って、電気や熱、CO2などをほかの設備に供給する。ブリケットなどの木質バイオマスを1日5トンから6トン使用し、150キロワットの発電を行う。FIT(固定価格買取制度)による売電も計画している。

メタン発酵プラントは、子会社で飲料製造のゴールドパック(東京都品川区)から排出される茶やコーヒーのかすを含む食品廃棄物を発酵させ、発生したメタンガスを発電やバイオメタン製造に使用する。プラントから発生する排熱はメタン発酵プラントや養殖・農業ハウスに供給し温度調整に活用するほか、排気ガス中のCO2を分離回収し、農業ハウスの農作物の育成、ドライアイス製造にも利用する。また、メタン発酵の廃棄物から肥料を製造する。1日当たり30トンの食品廃棄物を使用する予定で、発電規模は300キロワットとなる。ドライアイス製造装置は1日当たり100キロの生産能力がある。

スマート陸上養殖プラントでは、サーモンを中心に魚種に応じた最適な養殖システムの開発を目指し、将来的には養殖プラントと育成ノウハウをパッケージで販売する。施設内には直径5メートルの大型水槽を2つ備え、多くの小型水槽を設置している。

スマート農業ハウスは栽培面積600平方メートルで、トマトやキュウリ、イチゴなどを栽培。資源循環利用による持続可能な農作物生産とスマート農業技術の確立を目指す。農作業の一部は、同社グループの就労継続支援事業所エア・ウォーター・スマイルの従業員が担う。

さらに、敷地の25%を占める里山ゾーンでは、絶滅危惧種のチョウ、オオルリシジミなどの保全活動に取り組む。

同社は「今後構築する資源循環モデルを基盤とし、ほかの地域にも課題・特性に応じてカスタマイズして展開していきたい」としている。

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