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26年2月にPI成熟度モデル公開とアワード表彰

2025年12月11日 (木)

ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は11日、「PI実現コンソーシアム」の第2回全体会議を開催。フィジカルインターネット(PI)実装に向けた新たなWG(ワーキンググループ)新設に関する決議、既存WGの最新進ちょく、さらに2026年2月に初開催される「フィジカルインターネットアワード」の概要共有など、多岐にわたる議題が報告された。

今回の全体会議では、これまで活動を展開してきた「PI成熟レベル検討WG」、「水平連携検討WG」に加えて、新たに「地方共同混載配送検討WG」の参画が決議された。同WGは、人口減・高齢化が進む地方において、小売店舗などが“生活インフラ”として果たす役割が増す一方、地方では単独企業による改善余地が限られるラストマイル物流の持続性確保を目的に立ち上げられた。地方物流では「運び手不足」「需要の不確実性」「コスト上昇」が複合的に進行しており、既存の1対1取引では改善が難しいと指摘。複数企業が公平な立場で参加できる“地方混載輸送の型”をJPICの中立性の下でオープンに検証し、将来的には“自走可能な共同配送モデル”を作ることを目指すとしている。

報告事項としては「PI成熟レベル検討WG」と「水平連携検討WG」の進ちょく状況も共有された。PI成熟レベル検討WGでは、PIの実装度合いを評価する「PIMM」(Physical Internet Maturity Model)の策定が進む。自社のPI取り組み状況を自己評価できる指標としてPIMMを用意することで、企業やコンソーシアムが自らのPI実践状況を測定、後押しする基盤となることが期待される。

同WGからは、前回会合で発表された、PIMMの設計思想をFAQと解説資料で共通言語化した「リファレンスガイド」、PI達成要素を定義した「評価シート」、評価対象企業が自社の取り組みを記入する「フェイスシート」についてのピアレビューが重ねられてきたことが報告された。レベル1から最高5レベルまでに区分される成熟度モデルのレベル定義や、レベル認定の診断、審査、判定の運用方法の設計など、PIMMモデル設計・PIMM運用設計を検証した「PIMMベータ版」の骨格が固められている。

また、海外に向けてもPIMM開発状況を発信、フィードバックを受けるなどの連携を進めており、欧州の動向と歩調を合わせたPI枠組みへと拡張していることが報告された。JPIC森隆行理事長からは、「日本発の最先端PIモデルをガラパゴス化することなく、世界的な指標としてリードしていくことに意味がある」と語った。

一方、水平連携WGでは、化学品、医薬品、家電など既に複数業種の分科会取り組み状況が確認された。各業界で共同輸送・データ連携・標準化を進める動きが具体化しており、化学品WGでは標準化に向けたプロセスなどの検証、医薬品WGでは書類ペーパーレス化や、データ管理と品質管理を連携した物流プラットフォーム実証の報告、家電WGでは共同物流プラットフォームの検討状況が共有された。

さらに、創設された「フィジカルインターネットアワード2026」の実施詳細が示された。PI理念の普及加速を目的に創設された同賞は、10月27日から募集を開始しており、締め切りは12月20日まで。審査項目にはPIMM構成要素の取り組み状況も加えられている。2月26日に開催される「フィジカルインターネットシンポジウム2026」では、社会実装部門、パイロットプロジェクト部門それぞれでアワード表彰が行われるとともに、ベータ版を改良した“PIMMバージョン1”の公開も予定する。アワードや、具体化したPIMMを通じて、PIを“理念”から“運用可能な実装段階”へ進め、以降の各種プロジェクトの評価軸としての活用も見込まれている。(大津鉄也)

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