行政・団体駐車場法施行令の改正で、共同住宅(マンション)に荷さばき駐車施設の附置が可能になる制度が4月1日に施行される。国土交通省は共同住宅を荷さばき施設の対象用途に加えたが、施行を1週間後に控えた現時点で、制度を条例に落とし込んだ自治体は少数にとどまる。都市ごとに荷さばき条件が異なる状態が生まれつつある。同じ制度でも、物流の現場での意味は都市ごとに異なる。(編集長・赤澤裕介)
国交省の公表資料によると、駐車場附置義務を定める地方公共団体のうち、荷さばき駐車施設の附置義務に対応済みなのは27団体。検討中が97団体にのぼる。制度の枠組みは整ったが、全国の自治体が同時に実装段階へ移行しているわけではない。
政令市、義務から対象外まで対応分岐
施行を前に、全20政令指定都市と東京都の対応を一次ソースで確認した。同じ制度でも、都市ごとにルールは統一されていない。
さいたま市は4月1日以降に着工する共同住宅への荷さばき附置義務を明示し、チラシで周知を開始した。大阪市は附置義務条例を改正し、3月2日に公布。荷さばき附置に対応する規定を追加した。仙台市も条例見直しを完了し、新たな算定表を公表している。川崎市は共同住宅への附置義務化に向けた条例改正議案を市議会に提出した。
一方で、福岡市は共同住宅の荷さばき駐車場設置を「努力義務」にとどめた。横浜市は共同住宅を附置義務の対象外とする方針を維持し、来年度以降に実態把握と検討を進めるとしている。千葉市は議案説明資料で、実態把握後に制度設計を見直す方針を示しているが、条例としての確定内容は確認できていない。
東京都、京都市、神戸市は、既存の条例や指導要綱で共同住宅や駐車施設に関する制度を持つが、今回の施行令改正に対応した新たな条例改正は確認できなかった。札幌市、名古屋市、北九州市、堺市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、岡山市、広島市、熊本市は、公開情報では今回の改正への具体的な対応が確認できていない。
少なくとも公開情報ベースでは、制度対応を明示している政令市は一部にとどまる。
全国一律ではなくなる配送条件
この分岐は、物流の現場に直接影響する。
宅配やEC(電子商取引)配送では、マンションに荷さばきスペースがあるかどうかが配達効率を左右する。同じ規模の共同住宅でも、都市によって配達にかかる時間と効率が変わる。
制度は4月1日に全国で同時に始まるが、配送の前提条件は都市ごとに変わる。同一企業でも、都市ごとに異なる運用を求められる。物流事業者は、全国一律の前提で配送を設計することができなくなる。
国は制度の入口を開いた。だが、その実装は自治体ごとに委ねられている。施行後は、都市ごとに異なる条件を前提に、配送網そのものを組み直す必要が出てくる。
◆ この記事をより深く読むために ◆
・「駐車場条例改正、共同住宅に荷さばき施設義務化」(2025年3月28日)
・「『直達』、配送とマンション管理の交点で課題解決」(2025年7月4日)
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