調査・データ製造業向けAIデータプラットフォームを提供するキャディ(東京都台東区)は9日、製造業の管理職395人を対象に実施した調達意識調査の結果を公表した。米国の関税政策の変動や中東情勢の悪化を受け、サプライチェーンを取り巻く不確実性が高まるなか、管理職の8割超が「意思決定・判断が難しくなった」と回答した。調達コストの上昇にとどまらず、予算再編や社内調整といったマネジメント業務全体に影響が及んでいる実態が浮かんだ。
業務負担の増加については、6割が「増えた」と回答し、「非常に増えた」「かなり増えた」も2割強に達した。特に負担が増した業務としては「予算・計画の見直し・再策定」が17.7%で最多となり、「関係部門との社内調整」「調達部門との調整」「価格転嫁に向けた顧客交渉」が続いた。関税や為替など前提条件が短期間で変動するなか、従来の計画前提が機能しなくなり、調整コストが増大している構図が浮かび上がる。
調達リスクへの対応体制については、「整っていない」「どちらかといえば整っていない」との回答が5割に達した。業務負荷の増大と体制整備の遅れが同時に進行しており、現場対応が後手に回る構造が示唆される。意思決定を難しくしている要因としては「前提条件が頻繁に変わる」が28.9%で最多となり、「必要なデータが即時に把握できない」「部門間で情報が共有されていない」「対応できる人材・スキル不足」が続いた。環境変化のスピードに対し、情報と組織が追いついていない実態が明らかになった。
対応策としては、8割の企業が何らかの手を打っている。最も多いのは「サプライヤー分散・複数社購買」(34.7%)で、「価格転嫁」(29.4%)や「調達リスクの可視化・情報収集強化」(28.6%)が続いた。一方で「データ整備・システム化」や「体制強化」といった中長期的施策は1割前後にとどまり、即効性を優先した対処療法的な対応が主流となっている。
対策の進め方についても、4割が「担当者の経験・勘・人的ネットワーク」に依存していると回答した。データ分析ツールの活用は一定程度進むものの、AIを含む高度分析の活用は1割強にとどまり、意思決定の高度化は限定的にとどまる。情報収集の面では「サプライヤーからの情報収集」が57.3%と最も増加しており、外部情報への依存が強まる一方、社内データの統合や活用は十分とはいえない状況が続く。
また、今回の環境変化を契機にAIやデータ分析への期待が高まったとする回答は5割に達したが、実際の活用は一部にとどまり、期待と実装の間に大きな乖離が存在している。前提条件が頻繁に変動する環境下では、従来の属人的な判断では対応しきれない局面が増えており、データに基づく意思決定基盤の整備が課題として浮上している。
キャディは今回の結果について、関税政策と地政学リスクが同時に作用する現在の環境では、従来の延長線上にある対応では限界があると指摘。その上で、刻々と変化する前提条件に対応するためには、属人化した判断から脱却し、データを基盤とした迅速な意思決定体制の構築が不可欠だとした。AIを含む高度なデータ活用の実装により、複雑化する調達リスクを可視化し、サプライチェーンの変動を吸収できる企業とそうでない企業の差は今後一層拡大するとしている。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。































