国際EUは7月1日、域外から流入する低額EC(電子商取引)貨物に対する新たな通関制度を開始する。150ユーロ以下の少額貨物に認めてきた関税免除を廃止し、2028年7月1日までの暫定措置として、1品目あたり3ユーロの定額関税を導入する。急増する小口貨物を巡り、過少申告や貨物の人為的な分割、不適合商品の流入が問題となっていることを踏まえた措置で、EU関税改革の最初の実務段階となる。
新制度は、輸入ワンストップショップ(IOSS)を利用する貨物や郵便貨物を対象に設計されているが、実施規則上は150ユーロ以下のB2C越境EC貨物の大半に適用される見通し。関税の負担主体も、従来の個人購入者から、販売事業者、ECプラットフォーム、申告者側へ移る。VAT(付加価値税)の徴収実務に近づけ、購入者ではなく販売側に通関上の責任を負わせる内容だ。
11月1日からは、税関申告に商品識別子の記載も義務化される。オンライン販売者やプラットフォームが付与する商品ID、メーカーが付与する標準・非標準の商品IDなどを申告情報に含め、税関や市場監視当局が不適合品を追跡しやすくする。EUでは25年の大規模検査で、域外から直接消費者に輸入される低額商品の多くがEUの商品規則や安全基準に適合していないことが確認されたとしている。
今回の制度変更により、IOSSを使わない場合は、原則として購入者の居住国で輸入許可を受ける必要がある。EU域内の到着国と消費国が異なる場合、外部トランジット手続きが必要になるケースも想定される。一方、IOSS利用者は任意の加盟国で輸入申告できるが、VATの二重課税を避けるため、申告時にIOSS番号を示す必要がある。
物流事業者や通関業者にとっては、低額貨物でも関税計算、申告者責任、商品ID管理への対応が避けられない。少額貨物を多数に分けて消費者へ直送するモデルは、通関コストやデータ管理の負担が増す可能性がある。EUは将来、EC向けの税関データハブや専用保税倉庫制度の導入も予定しており、小口直送から一定量をまとめた輸入・域内配送へ誘導する狙いもにじむ。
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