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行政の危機感と荷主の苦悩交錯、JILS懇親会

2026年6月30日 (火)

ロジスティクス日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は6月30日、第16回定時総会後に東京プリンスホテル(東京都港区)で会員懇親パーティーを開いた。大橋徹二会長(コマツ特別顧問)に加え、来賓として経済産業省の浅井俊隆大臣官房審議官(商務・サービス担当)と国土交通省の岡野まさ子大臣官房総括審議官兼物流統括調整官が登壇した。官民の代表者が一堂に会し、持続可能な物流システムの構築に向けた課題と展望を共有した。

▲JILSの大橋徹二会長

大橋会長は開会のあいさつで、世界的な地政学リスクの高まりや生成AI(人工知能)をはじめとするデジタル技術の進展など、物流を取り巻く環境が急激に変化していると指摘。特に2024年4月に施行された改正物流効率化法(物効法)に伴う物流統括管理者(CLO)の選任義務化に触れ、「物流を経営課題として捉える動きが本格的に進んできた」と評価した。一方で、新たな取り組みを定着させるためには、法制度の理解とCLOの実務を支える人材の育成が急務だと言及。物流統括管理者連携推進会議(J-CLOP、ジェイクロップ)の活動を強化し、講演会や企業間交流を通じて現場の課題解決を後押しする姿勢を鮮明にした。

▲経産省の浅井俊隆審議官

続いて登壇した経産省の浅井審議官は、人口減少や自然災害を背景に、物流が社会インフラとして極めて重要な転換期にあると強調した。「課題は一企業や一業界のみで解決できるものではない」とし、サプライチェーン全体での連携強化を求めた。究極の物流効率化とされるフィジカルインターネットの実現に向け、データ連携や標準化の取り組みを支援していく方針を示した。

▲国交省の岡野まさ子総括審議官

国交省の岡野総括審議官は、2030年度までを「物流革新の集中改革期間」と位置付ける総合物流施策大綱の重要性を解説した。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や自動運転トラックの早期実装、新モーダルシフトの展開といった具体策を提示したほか、改正物効法による中継輸送の促進にも言及した。保管機能を持つ中継拠点の整備がドライバーの日帰り運行につながり、労働環境の改善と運行効率の向上を両立させると期待を込めた。

歓談の時間に移ると、改正物効法による特定荷主の指定を受けた企業の担当者を中心に、実務に直面するリアルな声が聞かれた。多くの企業でCLOの選任は済んでいるものの、中長期計画の策定はこれからという声が大半を占めた。

計画策定に向けた受け止め方は企業によって分かれている。「これまでの取り組みの延長線上にあるため、提出に向けて整理するだけだ」と冷静に捉える担当者がいる一方で、「グループ3社分の計画を策定し、整合性をとるのが大変だ」と作業の重さに頭を抱える声も聞かれた。「他社と情報交換をしてもそれぞれの事情が異なり、参考にしづらい」と手探りの状況を明かす参加者もおり、法令順守に向けた現場の苦労が浮き彫りになった。

一方で、制度の“網の目”に対する葛藤も聞かれた。誰もが知る大手メーカーや卸企業であっても、年間の取扱量が基準となる9万トンに達せず、特定荷主に該当しないケースがあるという。ある大手荷主企業の担当者は「特定荷主には当てはまらないということで、CLOの選任や中長期計画の策定はしていないものの、本来の目的に照らすと、本当にこれでいいのかと疑問に思う」と漏らす。同社は義務対象外ながらも独自に改善計画を策定しているというが、「物流改革に積極的な先進企業ばかりではないはず。努力義務にとどまることで改革に力が入らない『準特定荷主』層の受け皿も必要ではないか」と警鐘を鳴らす。義務の対象外となる企業をいかに業界全体の改革に巻き込んでいくか、新たな課題も浮き彫りになった。

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