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ブロックチェーン技術活用、決済連携も

PAL、荷主と瞬時に連携する在庫管理開発へ

2017年7月10日 (月)

話題PAL(大阪市西区)は7日、ブロックチェーン技術を活用してリアルタイムに在庫管理する仕組みをソラミツ(東京都千代田区)と共同開発する、と発表した。製品のサプライチェーン上で荷主などがブロックチェーンを用いた仕組みを導入しようとする際に備え、物流の対応力を高める効果を見込む。

荷主と3PL事業者にリアルタイムで正確な在庫情報を提供できるようにすることに加え、出荷情報、配送データなどを継ぎ目なく連携させる仕組みを構築するもので、「正確な在庫情報を自動取得する機能」と、「ブロックチェーンを活用してリアルタイムに在庫情報を連携する機能」が柱となる。

分散型台帳技術とも呼ばれるブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」などの分散型アプリケーションの基盤となる技術。これを用いることで仮想通貨やデジタルアセットの生成・送受信がネットワーク上で安全に実行できるようになる。

在庫情報のデータ連携にブロックチェーンを活用することにより、(1)正確な在庫情報を日々確認することが可能になる(2)ブロックチェーンの分散技術によって情報の改ざんリスクが少ないため高い信用性を担保できる(3)在庫移動や所有権の移転情報が瞬時に連携される(4)所有権移転に伴う決済をデジタル通貨でも行えるようになる――といった直接的な効果が見込めるほか、荷主がこれらの技術を導入する際に対応可能な物流体制を整える狙いもある。

同社は「物流センターは、これまでアナログで管理され、データ連携が困難な状況にあった。ブロックチェーンの活用により、在庫情報をリアルタイムで特定・連携すること、新たな決済・資金調達手段の提供へと発展が可能となる」とブロックチェーン技術を導入する狙いを説明する。

共同開発ではまず、正確な在庫情報を自動で取得するシステムに、RFIDを用いた位置特定ソリューションを応用。高い精度で位置を特定する先端通信技術を用い、移動しながらRFID(タグ)のデータを読み取ることができる仕組みを構築する。

具体的には、棚と荷物へICタグを貼り付け、無人搬送車(AGV)やドローンにリーダーを搭載して自動運転中にタグを検出。そのデータを解析し、実在庫のデータを作成・特定する仕組みで「ほぼ100%の在庫精度が出ている」(PAL)。在庫情報が毎日更新されることで実在庫が毎日認証されるため、在庫棚卸が不要になる効果も見込めるという。

次に、ブロックチェーンを活用しリアルタイムで在庫情報を連携するシステムは、オープンソースのブロックチェーンプラットフォーム「ハイパーレジャー」プロジェクトで世界で3番目に採択された、ソラミツが提供するブロックチェーン・フレームワーク「ハイパーレジャーいろは」を活用。

デジタル化されたデータ(アセット)を簡単に管理し、IoTデバイスに組み込みやすく、高いレスポンスやパフォーマンスを実現するアプリケーション構築が可能なこのフレームワークを用いることで、在庫情報管理、デジタル決済、契約管理、サプライチェーン・マネジメントなどに利用できるようになるという。