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一五不動産情報サービス調べ

物流施設価格、上昇見通しが75%占める

2015年2月27日 (金)

調査・データ一五不動産情報サービス(東京都墨田区)が2月27日に発表した「物流施設の不動産市況に関するアンケート調査」の結果によると、物流不動産価格の見通しは上昇が75%、横ばいが25%、下落の回答者はゼロとなった。

▲半年後の物流施設の賃料水準の見直し(出所:一五不動産情報サービス)

半年後の物流施設の賃料水準の見直し(出所:一五不動産情報サービス)

4分の3の回答者が不動産価格のさらに上昇を予想しており、依然として強気の見通しが支配的であることを示す結果となった。

賃料水準の見通しは上昇が55.4%で、調査開始以降で最大の構成比となった。賃料水準でも強気の見通しが支配的だが、一方でその見通しに異を唱える回答もやや増加した。

価格の見通しを上昇すると回答した理由では「投資家層の拡がりから、物流施設への不動産投資が更に活発になるため」が54回答で最多となり、「資金調達環境が良好なため」が38回答、「建設コストが上昇するため」が27回答となった。

上昇理由の上位3つは前回アンケートと同様の結果を示したが、「建設コストが上昇するため」は前回の37回答から減少した。ほかの選択肢では「投資対象となる高機能型物流施設の絶対数が少ないため」が19回答、「物流施設の賃料水準が上昇するため」が16回答、「日本経済の安定的な成長が期待できるため」が8回答。自由記入欄の「その他」では、売り物件の乏しさによる取得競争の激しさを示唆する意見が複数みられた。

横ばいの理由では「不動産価格が上昇局面から踊り場にさしかかるため」が13回答、「賃料水準の見通しに大きな変化がないため」が10回答で、前回アンケートとほぼ同じ傾向となった。

また「投資市場の過熱感から、投資を控えるプレイヤーが増えるため」が6回答、「金利の見通しに大きな変化がないため」が3回答あり、不動産価格の上昇期間が長期に、さらに上昇余地が乏しいことや局面変化を予想する意見が中心。

物流施設の賃料水準について、半年後の見通しは上昇が55.4%となり、調査開始以降で最大の構成比となった。横ばいは42.4%、下落は2.2%で、前回アンケートではなかった下落の回答者が複数現れた。

上昇理由では「土地価格や建設費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」が36回答で最多となり、「老朽化した保管型倉庫から高機能な物流施設に移転するケースが増えるため」が19回答。

また、「ネット通販が需要を更に牽引するため」が18回答で、前回アンケートの25回答から減少したことから、同社は「需要のけん引役としてのネット通販は、存在感がやや低下しているようだ」と指摘。

このほか、「高機能な大型物流施設の大量供給によって、潜在的な需要が喚起されるため」が14回答、「飲食料品・日用雑貨・医薬品など幅広い業種で需要拡大が期待できるため」が13回答で、「原油安によって物流会社の収益が改善し、賃料負担力が増すため」は5回答と少なかった。

横ばい理由としては「荷主・物流会社の賃料負担力に変化がないため」が27回答で最多となり、「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」が16回答、「物流業界に大きな変化がなく、安定しているため」と「物価動向に目立った変化はみられないため」がそれぞれ9回答だった。

前回アンケートと回答傾向はほぼ一致しており、物流セクターの特徴のひとつとされる安定性に加え、物流施設の需給バランスが均衡していることが横ばいの主な理由となった。

下落理由としては「物流施設の大量供給で、テナントの獲得競争が激化するため」と「高機能な物流施設の大量供給で、大型物件の希少性が薄れるため」がそれぞれ2回答、「人件費の上昇で物流会社の利益が圧迫され、賃料の値下げ圧力が強まるため」が1回答だった。