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運輸事業振興助成法が成立

2011年8月24日 (水)

行政・団体運輸事業振興助成法(運輸事業の振興の助成に関する法律)が24日、民主、自民、公明3党の賛成多数により、参議院本会議で可決、成立した。

 

これまで位置付けが曖昧だった、運輸事業振興助成交付金を初めて法で定め、都道府県に対して交付の努力義務を課すもので、軽油引取税の暫定税率に対する軽減税率に代わるものとして開始された、交付金制度の安定運用を法的に裏付ける意味がある。

 

運輸事業振興助成法では、都道府県に「交付するよう努めなければならない」と努力義務を課すとともに、交付金の算定基準についても「平成6年度以降に交付された運輸事業振興助成交付金の各年度における総額の水準が確保されることを基本」として、算定額を総務省令・国土交通省令で定めることとした。

 

また、法では使途についても「安全の確保、輸送サービスの改善、環境対策・地球温暖化対策の推進」を挙げた上で、政令で定める事業に当てなければならないとしている。

 

運輸事業振興助成法の全文
(趣旨)
第一条 この法律は、軽油引取税の税率について特例が設けられていることが軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業に与える影響に鑑み、当該事業に係る費用の上昇の抑制及び輸送力の確保に資し、もって国民の生活の利便性の向上及び地球温暖化対策の推進に寄与するため、当分の間の措置として、当該事業の振興を助成するための措置について定めるものとする。

 

(運輸事業振興助成交付金の交付)
第二条 都道府県は、軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業を営む者を構成員とする一般社団法人であって当該都道府県の区域を単位とするもの(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)第三十八条の規定による改正前の民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された社団法人であったものに限る。)及び当該都道府県の区域内において当該事業を営む地方公共団体に対し、当該事業の振興を助成するための交付金(以下「運輸事業振興助成交付金」)という。)を交付するよう努めなければならない。
2 前項の運輸事業振興助成交付金の額は、平成六年度以降に交付された運輸事業振興助成交付金の各年度における総額の水準が確保されることを基本として総務省令・国土交通省令で定めるところにより算定した額を基準とするものとする。

 

(運輸事業振興助成交付金の使途)
第三条 前条第一項の規定により運輸事業振興助成交付金の交付を受けた者は、この法律の趣旨を踏まえ、当該運輸事業振興助成交付金の額を、旅客又は貨物の輸送の安全の確保に関する事業、輸送サービスの改善に関する事業、環境対策及び地球温暖化対策の推進に関する事業その他の軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業の振興に資する事業として政令で定めるものに充てなければならない。
2 前条第一項の規定により運輸事業振興助成交付金の交付を受けた者は、都道府県の規則で定めるところにより、当該運輸事業振興助成交付金を充てて行った事業の実績その他の事項を都道府県知事に届け出なければならない。

 

(財政上の措置)
第四条 第二条第一項の規定による運輸事業振興助成交付金の交付に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、都道府県に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。

 

(省令への委任)
第五条 この法律に定めるもののほか、運輸事業振興助成交付金の交付の手続その他この法律を実施するため必要な事項は、総務省令・国土交通省令で定める。

 

附則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

 

(検討)
2 国は、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 

理由
 軽油引取税の税率について特例が設けられていることが軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業に与える影響に鑑み、当該事業に係る費用の上昇の抑制及び輸送力の確保に資し、もって国民の生活の利便性の向上及び地球温暖化対策の推進に寄与するため、当分の間の措置として、当該事業の振興を助成するための措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

■「運輸事業の振興の助成に関する法律案に対する附帯決議」の全文
(平成23年8月23日 参議院総務委員会)
 国は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。
1 運輸事業振興助成交付金の創設経緯及び本法施行後における同交付金の交付の状況を踏まえ、必要があると認めるときは、運輸事業の振興助成の手法の在り方、営業用車両に係る軽油引取税の税制上の取扱い等について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
2 各都道府県における運輸事業振興助成交付金の交付実績について毎年度把握し、本法の趣旨にのっとった交付が行われるよう、都道府県に対し、要請すること。
右決議する。