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米国で最初の納入先はUPS

三菱ふそう、初の世界市場向け量産電気小型トラック発表

2017年9月15日 (金)
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荷主三菱ふそうトラック・バスは14日、米ニューヨークで世界初の量産電気トラックとなる世界市場向け電気小型トラック「eCanter」(eキャンター)を発表した。今年度から米国、欧州、日本で納入を開始し、向こう2年間でさらに500台を販売、2019年から一般顧客向けの量産に入る。

同社のマーク・リストセーヤ社長兼CEOは「三菱ふそうは電気トラックを量産する初の企業となる。代替駆動システムの開発に取り組んできた長い歴史で、新たな時代を迎えることを誇りに思う。数年にわたる実用供試を経て量産化したeキャンターを、部品、サービス、車両の品質保証とともに、FUSOのグローバルネットワークを通じて提供する」との声明を発表、「未来の都市内配送を担うカギになる」と述べた。

2010年9月にプロトタイプを初公開した新型eキャンターは、同社が「都市が抱える騒音や排出ガスの課題を解決する答え」として三菱ふそうが開発した車両で、欧州で行った実用供試で「環境に優しく経済性に優れていることが証明された」として、満を持して世界市場に投入する。

今回、北米で発表した車両は車両総重量7.5トンクラス、1時間(直流急速充電)あるいは9時間(交流230V)の充電で航続距離は100キロ以上となっている。電気駆動システムには、最大出力129キロワット、最大トルク420Nmのモーターと、360V・13.8キロワット時の高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載。従来のディーゼル車と比べ、走行1万キロあたり、最大1000ユーロのコストを削減する。

量産電気小型トラックの生産開始に先行する形で、国内では5月に川崎工場内に電気トラック用の急速充電設備「EVパワーチャージャー」を開設。7月には国内向けeキャンターの生産を同工場で開始している。50台のeキャンターを製造するが、このうち25台はセブン‐イレブン・ジャパンに納入する。また7月下旬には三菱ふそうトラック・ヨーロッパのトラマガル工場(ポルトガル)で、欧州・北米向け車両100台の生産を開始している。

さらに、9月15日にはバッテリーを製造するメルセデス・ベンツ・エナジー社(ドイツ)、充電設備のプロバイダーであるチャージポイント社(米国)に加え、ダイムラーのトラック部門が高速充電技術を開発するイスラエル企業「ストアドット社」への投資を明らかにした。

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ダイムラー、EVトラックに5分で充電する技術搭載へ
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米国で最初の納入先はUPSとなる見通しで、このほかにニューヨークに拠点を構える野生生物保護協会、ニューヨーク植物園、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ニューヨーク、ビッグ・リユーズ・ブルックリンに、計8台を提供する。

三菱ふそうは今回の発表に際し、ニューヨークのイーストビレッジに「エナジー・ステーション・オブ・ザ・フューチャー」という施設を期間限定で開設。eキャンターで「ニューヨーク市やその他の都市部での日常の配送事業を、よりクリーンでかつ静かなものにできることを証明する」としている。

■量産までの過程

2010年9月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)IAA2010に初出展
2011年12月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)東京モーターショー2011年に出展
2013年6月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)第二世代を発表、「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)NEXCO中日本に実用共試
2014年7月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)ポルトガルで実用共試
2016年4月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)ドイツで実用共試
2016年9月「eCanter」(プロトタイプ)IAA2016で世界初公開
2017年5月川崎工場にトラック用急速充電設備「EVパワーチャージャー」開設
2017年7月川崎工場で「eCanter」(量産型)生産開始、トラマガル工場(ポルトガル)で「eCanter」(量産型)生産開始