デンソー、エンジン停止時も温度上昇抑える部品開発

産業・一般デンソーは7日、アイドルストップ時にエンジンが停止した状態でも車室内の温度上昇を抑制できる新型エバポレーター「蓄冷エバポレーター」（CSエバポレーター）を開発した、と発表した。

エバポレーターは、エンジンの動力で作動するエアコンサイクルの構成部品で、冷たい冷媒が暖かい空気と熱交換を行い、車室内への冷気の供給、除湿などを行っている。

開発したCSエバポレーターは熱交換部分に蓄冷材を備えており、ここにエアコン作動時に蓄冷しておくことで、アイドルストップによるエンジン停止時にも車室内に冷気を供給し、車室内の温度上昇を抑制することが可能になる。

これまでのエアコンは、アイドルストップ時にエアコンサイクルも停止するため、冷気の供給ができなくなり、車室内の温度を維持できなかった。夏場など気温が高い場合には、車室内の温度上昇に伴い、冷風を得るためにアイドルストップ中のエンジンを早期に再始動させ、エアコンサイクルを作動させることとなり、アイドルストップの効果を十分に発揮できないことがあった。

開発したCSエバポレーター搭載のエアコンシステムは、アイドルストップ中の車室内の温度上昇を抑制するとともに、エアコン作動に伴うエンジン再始動までの時間を長く保つことができるため、快適性能を維持しつつ車両の燃費の向上にもつながる。デンソー独自の工夫による高性能化を図り、素早く蓄冷し、ゆっくりと冷気を放出することを可能にした。

具体的には、蓄冷材を封入した蓄冷ケースの中にインナーフィンを設けたことで、蓄冷・放冷性能が飛躍的に向上。蓄冷ケースを冷たい冷媒が通るチューブの間に挟むことにより、エアコンサイクル作動中には冷媒チューブから蓄冷材に直接、効率的に蓄冷することができ、エアコンサイクル停止中は蓄冷ケースから冷媒チューブに接続したアウターフィンを通じ、よりゆっくりと放冷が行われる。

このため、比較的短い走行時間でも蓄冷が完了し、冷風を長い時間室内に放出することができる。新製品は、スズキが6日に発売したワゴンRに搭載されている。