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1万人調査で置き配利用17%、宅配ロッカー利用2%

2020年12月9日 (水)

調査・データ調査会社のマイボイスコムが9日に発表した、宅配便の受け取り方法に関する調査(11月1日~5日、回答数1万140件)の結果によると、直近1年間で「置き配」を利用した人は全体の17.1%で、駅やコンビニエンスストアなどに設置されているオープン型の宅配ロッカーや宅配ボックスを利用した人は2.3%に留まった。

※複数回答(出所:マイボイスコム)

2018年5月に実施した前回調査と比べ、「自宅で直接受け取る」「配送業者の営業所・取扱所」「職場など、自宅以外」の割合が減少した一方で、「マンションや自宅の宅配ボックス」の割合は増加し、新しい受け取り方法として今回から追加された「置き配」の利用率が、「直接」に次ぐ多さだった。

(出所:マイボイスコム)

利用率の低かった「オープン型宅配ロッカー・宅配ボックスを利用したいか」を問うたところ、利用する意向を示した人が全体の2割に満たない結果となったものの、一度でも利用した経験を持つ人の8割が今後も利用したいとの意向を示した。

オープン型宅配ロッカーに関する意見では、「外出ついでに宅配ボックスに寄って配達物を受け取ることはあまり負担に感じないかも」「自宅にいなくてはならないというプレッシャーがなくなる」といった好意的なものがあった一方で、「不特定多数が利用するようなものを今の時勢に使いたくない」「通勤していた頃は最寄り駅にあって便利だったが、自宅勤務になった今では駅まで行くのが面倒になってしまった」といったものもあった。

再配達の割合に関する調査では、「ほぼ毎回、直接受け取る」が27.5%と、前回調査より7.3ポイント増加。再配達になる頻度の多い人が全体的に減少した。再配達の減少は、日時指定や置き配指定、宅配ボックスの利用といった受取人の努力と、新型コロナウイルスの影響で在宅率が高まったことが影響しているとみられる。

(出所:マイボイスコム)

意識・方法ともに多様化

途中経過の統計としては「違和感なし」と感じる読者が大半ではないだろうか。方法論は別として、非接触型の受領方法を望む声は今後も増加するだろう。中でも置き配の需要が最大比率を占めるはずだが、その形態については、許容できる・できないの判断が分かれそうだ。

あくまで予測だが、外出して受け取ることを厭わない人の受け皿として、駅や店舗などでのBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)もしくはその類似形態が主流となりそうだと感じる。特にテレワークが定着する今後は、日々の外出のついでに受け取れる利便が好まれるだろう。

一方で、やはり圧倒的多数が「自宅受取」を望む傾向に大きな変動はないと思える。不在・在宅の別を問わず、非接触で受け取りたい――つまり置き配で済ませたいというのが過半の本音だろう。

戸建住宅・集合住宅それぞれの住環境で、「受取器具や設備の設置が不可である」とか、「心理的に使用に踏み切れない」という受領者たちが圧倒的多数だ。そんな浮動票の取り込みには「なにがどうであれば使う気になるのか」のさらなる情報収集が必要らしい。(企画編集委員・永田利紀)