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RFID普及のポイントは「個別」にあり/解説

2021年3月1日 (月)

サービス・商品省人化対策として設備や車両の自動化に注目が集まりがちだが、庫内作業においてはRFIDの有する能力は圧倒的な効果を約束してくれるものだ。

JANから派生して、さらなる個体情報量とデータ処理の容量・速度の飛躍的な進化は、現時点での国内総物量なら必要十分の消化処理が可能だろう。したがって、現段階ではこれ以上の「量」や「規模」や「速度」などの追求は無用の長物となる。実用化に向けての要点は、ひとえに「現場即応性」に尽きる。

GROUND、共同開発したRFID搭載ロボの提供開始(21年3月1日掲載)
https://www.logi-today.com/422333

電波干渉の防御とシステム制御によるミスリードやソートの簡易判別ができないままの称賛や理想論ばかりでは、現場での実務に寄与するどころか、混乱の元となりかねない。一瞬での入荷、一瞬での在庫データ読み取り、一瞬での出荷データ処理。それらは夢のような機能として大いに期待できるが、一方で制御・防御などの抑えを忍ばせておく必要があることも忘れてはならない。

たとえば、小区画ごとに大掛かりで高額な干渉防止設備は禁物だし、奇妙で冗長な手順なく作業者が通常の動作で業務できることが求められる。そのために処理能力や容量を減じたとしても、おそらくは現状に比して飛躍的な向上となるはずだ。それぐらいRFIDの能力は大きい。大振りせずとも、小さく振り抜くような使い方で充分な成果が得られることは間違いない。

文字にし、スキームを描くことは容易いが、実用にあたってのシステム開発費用や現場の設えなどにかかる時間、綿密な段取りは、担当者レベルに至れば想像以上に圧がかかると思われる。業務フローの改変が伴うために、設計者とOTJ担当者は相当な事前準備が欠かせないだろうし、最前線のスタッフに下ろすには万全に万全を重ねるようなテストが必須となる。既存の諸コードとはけた違いの情報処理能力を有するということは、トラブルやエラーの規模も同様となることは言うまでもない。

かねてより指摘されているコストの問題は、普及の進捗によって解決できるはず。それゆえにつまずきや混乱は回避して、順風に乗っての着実な開発実用化を願う。(企画編集委員・永田利紀)