ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

大阪の倉庫火災が鎮火、窓が少ない構造も影響か

2021年12月6日 (月)

事件・事故大阪市此花区の人工島・舞洲で11月29日朝に発生した、日立物流西日本舞洲営業所の倉庫火災は、12月4日17時に鎮火した。市消防局によると、丸5日を超える火災で、6階建て建物延べ5万6000平方メートルの7割に相当する3万8700平方メートルが焼けた。此花署などによると、1階の段ボールから出火し燃え広がったとみており、今後、現場検証を行い出火原因を調査していく。今後、被災状況の解明や物流サービスの正常化に向けた取り組みが本格化することになる。

▲隣接する建物まで押し寄せようとしている煙

今回の火災では、出荷直後に大量の煙が倉庫内や周辺地域に拡散。市消防局は、消火活動が長期化した理由について、「窓や出入り口などの開口部が少ない建物の構造が妨げとなった」と指摘している。薬品や医療機器といった燃えやすい収容物が多く、建物全体が濃い霧と熱気に充満した状態となったため、初動時において活動隊員や要救助者の出入りを統制する「進入統制」を実施して対応にあたった。

物流倉庫は、内部の商品の温度変化や日焼けを避けるため、換気システムを導入し窓を少なめに設計する方向にある。今回は、こうした取り組みが「裏目」に出た可能性もあり、今後の法整備のあり方を含めた防災の論点になる可能性もある。

5日間で消防車延べ503台とヘリコプター2機が出動。倉庫内の従業員100人に逃げ遅れがないことを確認後、地上からの放水や各階の開口部へのはしご車、高所作業車による放水を実施した。

市消防局は今回の火災発生を受けて、発生翌日の11月30日、倉庫火災を防止するため市内の5万平方メートル以上の倉庫21か所への緊急立ち入り検査を始めた。階段や通路などの避難経路や、防火道・防火区画におけるシャッターなどの管理が徹底しているかを確認するほか、消防訓練の励行を要請。12月10日まで実施する方針だ。