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ダンプ後輪タイヤ2本脱落、直撃した歩行者が重症

2022年1月13日 (木)

事件・事故12日0時30分頃、群馬県渋川市の国道17号で、走行中のダンプカーから脱落したタイヤ2本が、歩道を歩いていた男性(45)を直撃し、男性は重症を負った。

渋川署によると、現場は片側2車線の直線道路。脱落したタイヤは、ダンプカーの左後輪にダブルタイヤとして装着されていたもので、このうち1本が中央分離帯を乗り越えるなどし、もう1本は対向車線側の歩道を歩いていた男性に当たった。

男性は、大動脈解離や肝臓損傷、肋骨骨折などの重症を負ったが、命に別病はないという。

トラックは焼き砂を積み、同県片品村から茨城県内まで移動する途中だった。タイヤは直径105センチ、幅24センチ。同署は当時の状況を調べている。

タイヤ脱落事故の悲惨さ・危険性、いま一度見直すきっかけに

大型車の冬用タイヤ交換時におけるボルトの締めの甘さにより、タイヤが脱落する事故があとをたたない。

昨年12月にも、広島市の国道2号の八本松トンネル内で走行中の事業用大型貨物自動車から、左後輪のタイヤ2本が脱落し、対向車などに衝突した事故が発生した。それを受け、国土交通省や全日本トラック協会(東京都新宿区)は「増し締めの徹底」をするよう昨年末、貨物運送事業者や自動車整備関係者に対し、通知を行なった。

そんなさなかに、今回の惨事は起きた。だが、国交省によると、タイヤのなかでもとくに冬タイヤは、「雪が降る」状況で必要に迫られて、余裕がない状態で慌てて装着されるケースが少なくないという。昨年度の脱落事故のなかでも、11~2月の冬期が全体の65%を占めており、この時期はもっとも注意が必要だとされる。

▲2020年度のデータを見ても車輪脱落事故は冬季に集中している(出所:国交省)

広島市の事故の際と同様、今回も、事故の状況をカメラにとらえており、猛スピードで転がっていくタイヤの映像が、Twitter(ツイッター)などを中心にたちまち共有された。

映像を見たドライバーからは、正しい整備点検や増し締めの徹底を求める声などが多く寄せられた。2002年に横浜市で起きた三菱自動車製トレーラーのタイヤ脱落で母子3人が死傷した事故や、それにちなんで作られたのではないかとされている池井戸潤さん著の社会派小説で、映画化もされている「空飛ぶタイヤ」の内容を思い出した人も少なくなかった。

真相解明はこれからだが、過去に起きた悲惨な事故が、二度と繰り返されることがないよう、大型車に携わる人たちは、脱落した車だけでなく、ほかの車や歩行者までをも巻き込むタイヤ脱落事故の危険性について、いま一度確認するとともに、日ごろの点検作業などを見直すきっかけにしてほしい。(編集部・今川友美)

後を絶たないタイヤ脱落事故、増し締め徹底を