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XERO、フード宅配サービス一元管理システム開発へ

2022年1月26日 (水)

フードピアズは26日、子会社のXERO(ゼロ、東京都港区)が、次世代型クラウドサービス「ZERO(ゼロ)レジ」の新機能としてデリバリープラットフォーム(PF)機能の開発を始めると発表した。

EC(電子商取引)サービスの普及など消費スタイルの変化や、新型コロナウイルス禍に伴う宅配ニーズの高まりなどで、スマートフォンを使ってオンラインで料理を注文し宅配してもらうフードデリバリーサービスも急速な広がりを見せている。「新しい生活様式」の時代を迎えて、こうした宅配需要はコロナ禍の収束後も定着する可能性が高いとの見方が支配的だ。

(イメージ)

フードデリバリーサービスは、コロナ禍による感染対策で営業時間の短縮を迫られ客足が低調な飲食業界にとっても、落ち込んだ売上を補完する貴重な収入源だ。顧客接点の機会を高める目的で複数のフードデリバリーサービスに登録している飲食店もあるなど、積極的な導入を図る動きが広がる一方で、店頭ではサービスごとに専用のタブレット端末で管理する必要があり、オペレーションが煩雑になっている課題もある。

XEROは2020年の設立以来、次世代型クラウドサービス「ZEROレジ」を提供。現在700店舗以上の店舗に導入し、コア機能であるモバイルオーダーシステムによる店舗運営の省人化を実現している。XEROは、飲食店が向き合うフードデリバリーサービスの新たな課題に対応するため、フードデリバリーサービスをタブレット1台で一元管理できるデリバリープラットフォーム機能を開発。ことし4月の本格的な提供開始を目指して準備を進めている。

XEROが開発した、ZEROレジのデリバリープラットフォーム機能は、複数のデリバリーサービスの注文受付を一括に統合できるだけではなく、POSレジメーカーだからこそ実現できるハードウェア連携や細かなデータ分析、メニューの一元管理機能を兼ね備えているのが特徴だ。

XEROは、ZEROレジのデリバリープラットフォーム機能の利用について、事前申し込みを受け付けている。

ZEROレジのデリバリープラットフォーム機能概要

フードデリバリー業界の拡大を見据えた「顧客層」の深化を促すプラットフォーム

日本能率協会総合研究所は、19年度に1700億円だったフードデリバリーの市場規模は、22年度に3300億円、25年度には4100億円に拡大すると予測している(下図)。コロナ禍による新規利用者の拡大は決して一過性のものではないとの見方が強まるなかで、フードデリバリービジネスは今後も存在感を高めていくだろう。そこで求められるのが、業界内における適正な競争による活性化と、それを担保するためのシステム開発だと考える。

▲「フードデリバリー市場規模の推移」日本能率協会総合研究所調べ(出所:ピアズ)

業界の活性化については、国内のフードデリバリー市場には国内外の資本が数多く参入。すでに撤退を決めているプレーヤーも出るなど、優勝劣敗も明確になり始めている。こうした傾向は今後も続き、真に顧客の支持を得た企業グループが生き残り、サービス内容に磨きをかけていく構図が生まれるだろう。いわゆる「市場の原理」によるものだ。

むしろ、認識すべき課題は業界内の基本的なシステムの構築だろう。参入プレーヤーはもちろん、適正な範囲内でサービス品質を競い合うことで飲食店や顧客へのサービスの精度を高めていくことは、業界の価値をさらに高める手段だ。

とはいえ、こうしたサービスをより使いやすくするためのプラットフォームがあれば、消費者はより幅広い選択肢からサービスを容易に選択できるようになり、業界全体の顧客層を広げることができる。

こうした意味で、XEROの今回の開発案件は、デリバリーサービスの本質を突いた画期的な取り組みと評するべきだろう。旅行業界が一気に店頭からインターネットへと商品展開を広げて活性化を図ったのは、こうしたプラットフォームの開発が要因になっている。リアルな店舗で商品を選択できない、こうしたデリバリーサービスの弱点を補う意味合いも含めて、業界の変革を促す取り組みに注目していきたい。(編集部・清水直樹)