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GROUND、オートバックスの物流基盤構築を支援へ

2022年1月26日 (水)

ロジスティクスGROUND(グラウンド、東京都江東区)は26日、オートバックスセブンと中長期的な戦略的業務提携契約を締結し、物流施設統合管理・最適化システム「GWES」(ジーダブルイーエス、GROUND Warehouse Execution System)の提供を通じて新たな物流基盤の構築を支援すると発表した。

▲(左から)オートバックスセブン代表取締役社長執行役員小林喜夫巳氏、GROUND代表取締役社長CEO宮田啓友氏(出所:GROUND)

GROUNDは「すべての人にとって永久に持続可能な物流の未来へ」をビジョンに掲げ、AI(人工知能)やロボットなどの先端テクノロジーを活用した物流ソリューションを企画・開発・提供。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けた取り組みを象徴するプレーヤーとして存在感を高めている。

オートバックスセブンは、2019年を初年度とする5か年の「ローリングプラン」を掲げ、「人材」「IT」「物流」「財務」「情報」の5つの事業基盤の整備を推進。今回の業務提携は、GROUNDのGWESをはじめとする専門的なノウハウや知見をオートバックスセブンへ提供することにより、先端技術を活用した新たな「物流」基盤の構築にともに取り組む狙いだ。

さらに、26年末までに現在の在庫を2割削減して事業資産の効率化を図るとともに、新たに小口配送物流の構築も目指す。

両社の業務提携では、全国のオートバックスグループ600店舗へ出荷するカー用品を保管している「東日本ロジスティクスセンター」「西日本ロジスティクスセンター」へGWESを導入。在庫の可視化を行うとともに、在庫効率の改善・最適化を図る。物流施設内の在庫数や保管期間に加え、商品ごとの保管コストなどについての算定も可能となるため、物流施設経営や商品調達における適切かつスピーディーな意思決定を可能にする。

さらに、GWESで培ったノウハウと技術を活用しながら、オートバックスグループ店舗のPOS(販売時点情報管理システム)データや在庫情報、販売企画情報など各種マーケットデータを利活用した需要予測システムの企画・構築により、物流施設における仕入れや入庫の最適化を目指す。

他にも、GWESを活用してオートバックスセブンが新設予定のEC(電子商取引)物流センターなど複数拠点間における在庫情報の共有による在庫最適化と配送のスマート化を図る。

▲業務提携によって構築される物流基盤のイメージ(出所:GROUND)

GROUNDが乗り出す企業物流支援ビジネス、物流DX化のあり方に強い示唆を与える

物流DX化のあり方について常に新しい発想を提示しているGROUNDが、ビジネスの新基軸を生み出そうとしている。特定の事業会社を対象とした物流業務の支援に乗り出すというのだ。15年4月の設立から、各種テクノロジーを活用した物流ソリューションの提供を手がけてきたGROUNDが、企業における物流基盤の構築という、さらに高次元なステージを追求していくことで、新たな地平を開拓する意思を鮮明にした形だ。

(イメージ)

GROUNDは、21年6月に発表したGWESを物流施設の統合管理・最適化システムと位置付けた。物流施設を起点に物流全体を最適化できるソリューションであることを明確化。物流現場における課題解決に必要な発想として、課題となる部分に先進機器を導入する「部分最適」ではなく、施設内ハードウェア・ソフトウェアの統合管理を図る「全体最適」の概念を訴求したところに、物流DX化を語る上での斬新さがあった。トラスコ中山との資本業務提携は、GWESの活用によるこうした物流課題の解決支援の実績を示す意味合いもあった。

それからわずか7か月。GROUNDは次の一手を早くも打ち出した格好だ。物流DX化とはどうあるべきなのか。先進機器やシステムを構築し提供することがDX化ではない。それはあくまで手段を示したことにしかならず、それを活用しながら課題を抽出して解決の道筋を探るところに本質がある。

GROUNDが物流ソリューションビジネスで獲得した発想を、物流支援という新ビジネスに昇華させようとする今回の動きは、物流DX化に携わるプレーヤーに強い示唆を与えるだろう。(編集部・清水直樹)

GROUND、物流統合管理・最適化システムを発表