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東京建物、BTS型施設「T-LOGI本庄児玉」開発

2022年2月17日 (木)

拠点・施設東京建物(東京都中央区)は17日、冷凍・冷蔵庫開発事業に参入する。それに伴い、同社の物流施設「T-LOGI」(ティーロジ)シリーズ第1弾として、埼玉県上里町に「T-LOGI本庄児玉(仮称)」を、特定のテナントの要望に応じてオーダーメイドで建設される「BTS型物流施設」として開発中であることを明らかにした。

施設は、敷地面積2万5452平方メートル、延床面積1万5391平方メートル(予定)の地上2階建てで、ことし11月の開業を予定する。

▲「T-LOGI本庄児玉(仮称)」の外観イメージ(出所:東京建物)

施設内には、製品を自動搬送できるラックシステムを設置し、省人化を図るなど、自動倉庫として顧客ニーズに対応した最先端の技術を導入。

3万パレットを格納でき、冷凍・冷蔵仕様の自動倉庫としては国内最大級となる予定だ。設計施工は関東建設工業(群馬県太田市)が担当する。

太陽光発電による自己託送(自家用発電設備を設置する者が、発電した電気を一般電気事業者の送配電ネットワークを介して、別の場所にある施設等に送電すること)や高効率な自然冷媒冷凍機を導入する計画で、環境に配慮した物流施設を目指す。

同社は2018年に物流施設開発事業に参入、全国で20物件のマルチテナント型を想定した物流施設を開発してきた。

冷凍・冷蔵倉庫は、これまで一般的な物流施設と比較すると賃貸施設としての開発例が少なく、自社所有による開発が主流だった。

だが、共働き世帯の増加といった社会構造変化に伴う食品系EC(電子商取引)の伸長や、老朽化施設の更新、コールドチェーンネットワークの再構築による物流効率化、さらに近年社会問題化しているパンデミックや災害対応に備えた医薬品やワクチン等の低温保管施設の確保などのため、冷凍・冷蔵倉庫のニーズは今後一層高まると見込んでいる。

関越自動車道「本庄児玉IC(インターチェンジ)」から3.3キロに位置し、都心部と郊外の生産拠点の両方にアクセスしやすい立地だ。

同社は「今後もお客様のニーズに寄り添ったBTS型の冷凍・冷蔵倉庫の開発を積極的に行っていく。さらに、汎用性の高いマルチテナント型物流施設においても、冷凍・冷蔵倉庫の将来対応が一部可能となる施設設計の検討を積極的に行っていく」とコメントしている。

T-LOGI本庄児玉(仮称)概要

所在地:埼玉県上里町大字嘉美字立野南1353-1ほか(地番)
アクセス:関越自動車道「本庄児玉IC」から3.3キロ

(出所:東京建物)

敷地面積:2万5452平方メートル
延床面積:1万5391平方メートル
構造:地上2階建て
用途:倉庫、事務所
開業:2022年11月

「冷凍・冷蔵」が物流施設開発プロジェクト差別化のキーワードに

物流施設の開発事業者が、冷凍・冷蔵庫開発事業に参入する動きを加速させている。東京建物は、埼玉県上里町の関越自動車道沿いに冷凍・冷蔵仕様の自動倉庫を整備。国内最大の消費地である首都圏での冷凍・冷蔵物流ニーズに対応することで、物流施設開発における差別化を明確にする狙いだ。

新型コロナウイルス禍の収束後に予想される経済活動の本格回復を見据えて、首都圏では物流施設の開発が各地で進んでいる。2023年以降に完成する物件が、東京湾岸や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)をはじめとする高速道路の沿線などで続々と計画されているのは、アフターコロナ時代における「質」「量」の両面での物流ニーズの高まりに対応することで、新たなビジネス機会の獲得を目指しているからにほかならない。

18年に物流施設の開発に参入した、いわば「後発」の東京建物は、こうした動きに乗り遅れないためには、圧倒的な差別化を図る必要があると判断。社会のニーズに追いついていない冷凍・冷蔵の自動倉庫に勝機を見出した。「新しい生活様式」の時代を迎えて、「冷凍・冷蔵」が物流施設プロジェクトのキーワードになりそうだ。(編集部・今川友美、清水直樹)