ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日立物流が通期業績予想を修正、当期利益も数値化

2022年4月15日 (金)

(イメージ)

調査・データ日立物流は15日、2022年3月期の通期連結業績予想を修正したと発表した。2021年11月に発生した日立物流西日本(大阪市此花区)の倉庫火災による焼失施設の解体・撤去費用など賃借不動産にかかる損失や、顧客をはじめとする関係者に対する弁済金などをその他の費用として72億9400万円計上する見込みとなった。それを受けて、ことし1月31日に公表した前回予想時に示していなかった税引前当期利益や親会社株主に帰属する当期利益の数値を明記した。

今回の業績予想修正では、前回予想数値について売上収益を7200億円から7400億円に、調整後営業利益を375億円から380億円に変更した。さらに税引前当期利益を240億円、親会社に帰属する当期利益を130億円と設定。2021年3月期実績と比べてそれぞれ38.7%、43.2%減少する予想とした。

売上収益は主に国際物流における取扱量の増加により、前回発表予想を上方修正した。調整後営業利益は、火災にで生じた代替輸送などの実施による諸経費を6億7200万円計上する見込みであるものの、増収効果やフォワーディング事業の収益向上により前回予想を上回ると判断した。

火災損失における受取保険金として3億5200万円を計上する見込みであるものの、今後保険が適用されるものについては現時点で未定であることを考慮して、予想数値への反映を見送った。

持続的な物流サービスの実現に欠かせない「リスクへの対応力」

日立物流が、21年11月の日立物流西日本の倉庫火災から4か月半を経て、ようやく22年3月期の通期業績予想の策定にこぎ着けた。火災による影響の全体像は未だ確定していないものの、一連の火災対応を経て、物流ビジネスにおける課題抽出やリスクマネジメントのあり方を議論する機運がさらに高める機会としたい。

(イメージ)

日立物流の業績は堅調だ。国際物流を中心に着実に収益を確保。2022年度を初年度とする3か年の新中期経営計画「LOGISTEED(ロジスティード)2024」スタートとともに4月1日に発足した新経営体制は、アジア圏における地域リーダーとなるべく取り組んでいく姿勢を強調。中谷康夫会長は経営方針や事業計画など長期的な戦略構築を担うCEO、高木宏明社長は事業運営を率いるCOOとして役割を分担しながら、タッグを組んで企業運営を担っていく。

こうした物流サービスの展開に欠かせないのが、こうした火災などリスクへの対応力だ。今回の火災では医薬品サプライチェーンに混乱を来たすなど、教訓も残した。過失の所在をめぐる議論はともかくとして、攻撃と防御の両立こそが持続的な物流サービスの実現につながることを認識したい。(編集部・清水直樹)