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LexxPluss、自動搬送ロボ技術情報を無償で公開

2022年6月6日 (月)

荷主小型自動搬送ロボット開発のLexxPluss(レックスプラス、川崎市幸区)は6日、自動搬送ロボットの技術情報を無償公開する「Open Source Industrial Roboticsプログラム」の提供を開始すると発表した。

自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」(ハイブリッドAMR)をはじめとしたロボティクス・オートメーション製品の技術情報について、法人パートナー向けに無償で公開。プログラムに登録したパートナーは、レックスプラスが運営するプログラムサイト上に公開される技術情報について、ロボット製造や技術開発などあらゆる用途で活用できるのが特徴だ。

従来の産業機械製品は、あくまでハードウエアに付加価値の源泉があり、メーカーの多くはそれを守りながらビジネスを拡大してきた。ユーザーの観点からすれば、製品の導入や運用における情報がブラックボックス化されていることから、非効率なカスタマイズ対応やメンテナンスなどを迫られる課題があった。

レックスプラスは、IoT(モノのインターネット)や自動運転技術の成熟を契機として、その前提が崩れると予測。ロボティクス・オートメーション製品は、ソフトウエアとハードウエアがいずれも重要なファクターを占めることから、顧客に一番近いパートナーがサービスを提供することで、技術の汎用性やメンテナンス性、信頼性を高めるとともに、自動化ソリューションのインフラ化にも貢献できると判断。情報公開に踏み切った。

それぞれのパートナーは独自にロボットを製造・販売したり、既存ソリューションと組み合わせて物流倉庫や工場現場に提供したりと、新しい可能性を開拓できるようになる。

Open Source Industrial Roboticsへの参加希望者は、以下のリンクを通して問い合わせる。レックスプラスが内容を確認のうえ、オンラインでの説明会議を案内する。

問い合わせへのリンク

(クリックで拡大、出所:LexxPluss)

物流ロボット市場の成長に不可欠な「情報公開」、一肌脱いだレックスプラス

物流倉庫向け自動搬送ロボットの開発で存在感を高めているレックスプラスが、その技術情報の無償公開に踏み切った。自動搬送ロボットに代表される先進機器・システムの普及には、技術的な情報のオープン化が欠かせない。情報の機密化で差別化を促し成長を遂げた、かつてのマシン開発の発想は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という概念においては、むしろ進化を阻む要因にさえなっている。

消費スタイルの多様化に伴う宅配需要の高まりで、物流現場で取り扱う荷物の量は増加の一途だ。人手不足や長時間労働への対処策として注目されているのが、自動搬送ロボットだ。倉庫内における搬送業務の自動化は、現場作業における肉体的な負担の軽減だけでなく、より効率的な業務の実現にも貢献する取り組みだ。少子高齢化がさらに加速する今後、輸送ニーズの高度化に対応するために避けて通れないのが物流DX化だ。

(イメージ)

レックスプラスは、こうした自動搬送ロボットの市場を活性化させるために情報を公開し、いわば「一肌脱いだ」印象だ。こうした先進ロボット市場では、情報のブラックボックス化は市場の拡大を阻害する、むしろ縮小をもたらす要因になりかねない。こうした情報公開が、最終的にはレックスプラス自体の成長や企業価値向上にもつなげられるとなれば、まさに究極のビジネスモデルとさえ言えるのではないか。(編集部・清水直樹)