ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ADJが大型ドローン向け動力開発成功、実用化へ前進

2022年6月14日 (火)

ロジスティクスエアロディベロップジャパン(ADJ、東京都小金井市)は14日、ハイブリッド動力システムの量産モデル開発に成功したと発表した。量産モデルの予約注文受付を開始するほか、千葉市美浜区の幕張メッセで6月21日から3日間開催される「Japan Drone(ジャパンドローン)展」において、開発に成功したハイブリッド動力システムを披露する。

(出所:エアロディベロップジャパン)

従来開発されたドローンは、総重量25キロ以下の小型機が主流。用途としても空撮・測量・検査など限定的だったが、ここ数年の機体の大型化で、大きな荷物など重量物を搭載して長時間飛行する物流用途にも活用できる可能性が開けてきたことから、大型ドローンの社会実装に期待が集まっている。中国・アメリカ・イギリス・イスラエル・オーストラリア等の各国で無人の大型ドローンや有人による空飛ぶクルマの新興メーカーが、ここ数年で次々と誕生している。

国内でも、大型ドローンや空飛ぶクルマの市場が本格的に広がる準備が整いつつある。国内におけるドローンの規制は、主に「有人地帯上空の飛行可否」「操縦者目視外の飛行可否」の2点を中心に「レベル1」から「レベル4」まで定められているが、ここ数年の間に規制緩和が進み、現在は有人地帯上空飛行は不可だが操縦者目視外飛行は可能な「レベル3」まで認められている。

2021​​年6月には「航空法等の一部を改正する法律」が成立し、ことし12月の施行が決定。有人地帯上空飛行も操縦者目視外飛行も可能な「レベル4」が認められるようになり、都心部でも大型ドローンを用いた重量物輸送が進んでいく可能性も高まっている。

とはいえ、国内を含めた世界各国における大型ドローンや空飛ぶクルマの実用化に向けた課題として、「動力源」の確保がある。これまでの小型ドローンで動力源として利用されてきたリチウムイオンバッテリーは、大型ドローンが長時間飛行するには、単位重量あたりの発電量が十分な大きさとは言いがたい。飛行時間を長くしようとすると搭載重量が小さくなり、それを大きくしようとすると飛行時間が短くなるジレンマを抱えている。こういった背景から、より単位重量あたりの出力の大きい動力源開発が求められてきた。

ADJは、この課題を解決するため、大型ドローン・空飛ぶクルマ向けの次世代動力源を開発。ガスタービンと小型発電機を組み合わせたハイブリッド動力システムだ。ガスタービンを毎分10万回と高速で回転させて発電機を駆動させることで、単位重量あたりの発電量を大きくすることが可能になった。一般的なリチウムイオンバッテリーの発電量が0.25キロワット時程度であるのに対し、ADJのハイブリッド動力システムは1キロワット時を超えると試算。リチウムイオンバッテリーの約5倍となる単位重量あたり発電量を確保することで、飛行時間とペイロードの両立を目指す。