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和牛の新鮮受精卵をドローン配送、有効性実証

2022年8月10日 (水)

▲和牛の受精卵が入ったポットをドローンが運ぶ箱に入れる(出所:NEXT DELIVERY)

ロジスティクスNEXT DELIVERY(ネクストデリバリー、山梨県小菅村)は10日、北海道上士幌町、JA上士幌町と共同で、JA全農ET研究所(北海道上士幌町)の協力を得て上士幌町でドローンを活用した世界初の牛の受精卵配送の実証実験を実施した、と発表した。

7月1日にET研究所で採卵された牛の冷凍保存されない新鮮卵(受精卵)をドローンで町内農家宅へ配送し、移植する実証実験を行い、成功した。この取り組みでは、国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用した。

日本の肉牛生産は、生産基盤の縮小に伴う構造的な子牛供給不足が深刻化しており、和牛の子牛共有手段として、乳牛を借り腹とした和牛受精卵移植による子牛生産の重要性が増している。ET研究所は、早くからこの世界に類を見ない受精卵供給体制を構築し、JAと一体で和牛生産基盤を支え、ET妊娠牛を全国に供給している。

一般的な受精卵移植は凍結・保存した受精卵を使用するが、凍結や解凍の過程で受精卵が損傷を受ければ、受胎率は低下すると考えられる一方、新鮮卵は、冷凍受精卵よりも安定した受胎率は得られるが、採卵当日に移植を行う必要があり、採卵・流通・利用の関係上、広域流通は困難とされていた。

▲受精卵が入った箱を届けて飛び去るドローン

今回の実証実験は、新鮮卵の受胎率や広域流通の可能性を検証するもので、ドローン配送による温度管理・振動・配送後の移植状況の評価と、従来のナイタイ高原牧場へ牛を運び新鮮卵を移植する方法、農家が自ら研究所まで受精卵を車で引き取りに行く方法と、ドローンを活用し農家庭先に輸送する方法を比較し、輸送にかかる農家の手間やコストなどを比べてドローン配送の有効性を検証した。今回の実証を含め、本年度中に4回の実証を行う計画。