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物流スタートアップ・ベンチャー特集/第5回

互いの「尊敬」が物流を変える/Hacobu・佐々木社長

2022年8月23日 (火)

話題LOGISTICS TODAYのスタートアップ・ベンチャー企業を応援する企画「物流スタートアップ・ベンチャー特集」。第5回は、Hacobu(ハコブ、東京都港区)の佐々木太郎社長CEO(最高経営責任者)です。

社会に不可欠なインフラであるはずの「企業間物流」は、なぜこんなに業務の効率化が遅れているのだろう。このままでは日本経済の成長を阻む要因になりかねない――。そんな危機感が、私に3回目の起業を決意させました。それが2015年に設立したHacobuです。

こうした物流業界の課題に対応するためにできることは何か。そのヒントが、Hacobuを設立するまでに経験した経営コンサルティングでした。なかでも印象に残ったのが、乳業メーカーの卸の経営改革プロジェクトにおけるサプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化です。

当時のSCMは計画系が主流で、実行系はほとんどありませんでした。つまり「モノを運ぶ」仕事の最適化という発想がまだ注目されていなかったのです。物流の現場を訪れて必要な情報を聞き出そうとすると、担当者がファクスの束から必要な情報を探し続ける。配送状況を尋ねてもその都度ドライバーに電話で問い合わせるだけで、つながらなければ現在地の把握すらできない。

こうした現場の姿を目の当たりにした強烈なインパクト。ITコンサルの仕事で培ったITの素養をベースに、こうした課題を解決したい。それがHacobuの設立を決意した最大の動機となりました。

▲MOVOシリーズ

それから7年余り。物流の現場業務をデジタルの力で効率化・最適化しようとする動きが活発になっています。こうした物流DX(デジタルトランスフォーメーション)のうねりのなかで、どこから着手すればよいか分からず戸惑う物流関連企業に対するきっかけを提供する。これがHacobuの現在地であり役割でもあると考えています。MOVO(ムーボ)シリーズをはじめとするHacobuの各種サービスの提供により「デジタルデータには物流業務を変革する力がある」との理解を広げたいからです。

こうして「運ぶを最適化する」とのミッションを掲げて物流DXの実現に向けたソリューション開発に取り組むHacobuは、新しいロジスティクスのあり方を「Data-Driven Logistics」(データ・ドリブン・ロジスティクス)と定義して、さらなる飛躍を遂げようとしています。その実現に欠かせないのが、人材です。

物流改革を通して社会の発展に貢献するHacobuにとって、物流やロジスティクスに精通した人材の登用は重要なポイントの一つでしょう。しかし、それだけでは飛躍することは難しいと考えています。「この業界の常識や現場を疑える」、つまり物流という世界を客観視することができる人材も絶対に必要です。要するにこうした多様な人材が意見を交わすことで生まれる化学反応が、新たな価値を創造するのです。

(イメージ)

もちろん、物流のバックグラウンドがある人材ならではの強みもあります。物流現場の業務効率化を支援するサービスを検討する場合に、提供する側はどうしても自分たちの理念だけに基づいたイメージを描きがちです。しかし、こうした物流現場を熟知している人材が開発メンバーに加わることで、より「現場で使ってもらいやすい」仕様にブラッシュアップすることが可能になります。なぜなら、こうした人材は「現場業務の最適化をなかなか実現できない理由」を肌感覚で理解しているからです。

Hacobuは、物流現場の知識がある人材と他業界出身者とのマッチングを大切にしています。とはいえ、多様な人材が一つの方向性を共有するのはそんなにたやすいことではありません。そこで重要なのが、企業の理念です。

Hacobuは「Respect others.」(レスペクト・アザーズ)、つまり「チームメンバー、取引先、顧客、あらゆる人を同じ人として尊敬する」ことをVALUE(バリュー)に掲げています。これが全ての従業員における共通の軸となることで初めて、社会に不可欠なインフラである物流の変革に挑む集団となりうるのでしょう。

起業して成長を続けること、それは決して平坦な道のりではありません。険しい山を登るのと同じです。険しい山、つまり本当の意味で業界を変えるというテーマに挑むには、チームとして一緒に登る信頼できるパートナーが絶対に必要です。ここでパワーを発揮するのが、Hacobuのこうしたカルチャーなのであり、スタートアップとして成果を最大化する方策なのだと考えています。

Hacobu採用ページ

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