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日野の中間期は国内販売36%減、通期業績不透明

2022年10月27日 (木)

荷主日野自動車が27日発表した2022年9月中間連結決算は、歴史的な円安などに救われ、かろうじて増収を確保したものの、エンジン認証不正問題で大半の車種が国内出荷停止となったことが響き、営業利益は半減、最終利益は7割減となる厳しい内容となった。エンジンの型式指定取り消しで大型トラックの出荷再開は依然めどが立たず、今後発生する関連損失も見通せない。先行きへの不透明感が色濃く残った。

27日午後にオンラインで記者会見した日野の小木曽聡社長は、先に発表した企業改革を進行中だと説明し、運送会社などのユーザーや部品メーカーなどの仕入れ先への影響最小化に引き続き注力する姿勢を改めて示した。

出荷停止でサプライヤーの廃業も

▲オンラインで9月中間決算を説明する日野自動車の小木曽聡社長

9月中間期は、不正問題が直撃した国内販売の台数が前年同期比36.3%減の1万8600台にとどまった。国内の落ち込みを補ったのが海外販売で、24.7%増の5万5800台が売れた。インドネシアの61.1%増を始め、タイやアメリカで好調だった。円安による押し上げ効果が大きく、海外販売の増収分(135億円)と為替差益(245億円)で、国内販売の減収分(332億円)を補うことができた。ただ、原材料高で鋼材などの調達費用が205億円増え、営業減益となった。

不正関連の特別損失としてリコール費用を20億円計上。出荷停止で損失を被った部品メーカーへの補償費も26億円に上った。それでも小規模サプライヤーの中には廃業もあったといい、小木曽社長は「申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べた。

納期遅れでユーザーから「お叱り」も

運送会社などのユーザーに対しては、小木曽社長は以前、燃費性能不足などによる損失に対応する考えを表明していたが、具体内容や費用の積算はまだ検討中という。小木曽社長は、日野車を発注した国内ユーザーから納期の遅れに対する「お叱り」が寄せられていることも明かし、「リース車やレンタカー、中古車という形で対応している」と述べるにとどまった。

日本政府だけでなく、北米の関係当局ともエンジン性能の問題で折衝が続いており、年度内に終わるめども立っていない。23年3月期通期の業績は、販売台数については国内が前期比36%減の3万7000台、海外が22%増の12万台と見通しを示したものの、不正関係費用の不透明さから経常利益と最終利益の予想値は示せなかった。

会見で資金面の状況を聞かれた財務・経理領域の松川徹領域長は「足元で資金的に大きな問題はない。親会社のトヨタ自動車や金融機関とも情報を共有しながら(財務を)進めている」と述べ、不安を打ち消した。

日野の中間決算、出荷停止響き増収でも減益

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LOGISTICS TODAY編集部
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