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東京建物、吉見G専用の冷凍自動倉庫が完成

2022年11月2日 (水)

▲T-LOGI本庄児玉(出所:東京建物)

拠点・施設東京建物(東京都中央区)は2日、同社初のBTS型物流施設「T-LOGI(ティーロジ)本庄児玉」(埼玉県上里町)が10月末に完成したと発表した。「T-LOGI」シリーズ第1弾で、冷凍仕様の自動倉庫としては国内最大級となる。冷凍物流事業で戦略共有を推進してきた吉見グループ(埼玉県熊谷市)の専用施設として稼働する。

新型コロナウイルス禍を契機に伸長する冷凍・冷蔵倉庫の需要増に対応するもので、物流効率化に向けてのコールドチェーンネットワークを再構築する。同社は「今後も冷凍・冷蔵機能を有する先進的物流施設を積極開発していく」としている。

施設は鉄骨造りの地上2階建てで、延床面積は1万5612平方メートル。関越自動車道の本庄児玉インターチェンジから3.3キロに立地する。

▲周辺地図

自動搬送できるラックシステムを全面に設置し、2万8000以上のパレットを格納できるなど自動化による省人化や待機トラックを最小限に抑える低炭素化に取り組む。

他の同シリーズと同様に、屋上に太陽光パネルを設置し発電した再生可能エネルギーを施設内で自家消費する仕組みも導入。地球温暖化対策として、高効率な自然冷媒冷凍機を取り入れるなど環境面にも配慮した設計とした。


▲(左から)荷物を自動で運ぶレール、自動ラック

これからの施設開発事業者に求められる「時流を逃さないビジネス戦略」

「百貨店の店頭に並ぶ商品は時代のトレンドを象徴する」とされたのも今や昔、それに取って代わったのは物流倉庫だ――。物流施設の開発プロジェクトに接するにあたり、そんな印象が強まっていくのを実感する。

東京建物が埼玉県上里町の関越自動車道の沿線に開発した物流施設は、「冷凍」「自動搬送」「自然冷媒」という3つのキーワードが、まさに社会における風潮を色濃く反映していると言える。かつては「箱モノ」の象徴とされた物流施設も、付加価値を提供する装置としての機能が求められるようになったのだ。

その背景にあるのは、国民の消費スタイルの多様化だ。スマートフォンの普及や新型コロナウイルス禍による「巣ごもり需要」を背景としたEC(電子商取引)サービスの急速な浸透は、消費の舞台を店舗から宅配に変えようとしている。

宅配サービスを切り回すために欠かせない物流倉庫の業務を効率化するには、自動搬送システムが有効だ。さらに自然冷媒を活用した冷凍機の導入により、持続可能な社会を創出する一助になるだけでなく、荷主にとっても企業価値向上につなげられるメリットも生まれる。

物流倉庫がこうした付加価値を創出するためには、開発事業者による発想の転換も求められる。「場所貸し」から「共同開発」へ。特定のテナントの要望に応じたオーダーメイドでの開発が、特に冷凍機能など付加価値の高さを強みとする施設の場合は主流になる傾向が強まりそうだ。

物流倉庫が社会のトレンドを反映するのは、サプライチェーンの一翼を担う以上はむしろ当然であるとも言える。むしろ肝要なのは、こうしたトレンドの変化を見誤らないことだ。

冷凍機能は食品の宅配需要の高まりや、医薬品など適切な温度管理がより求められる荷物の保管ニーズに対応した取り組みだ。しかし今後、そのニーズがより高度化・多様化していく可能性は決して低くないだろう。その変化を機敏に把握してサービスに反映できるか。むしろ、物流施設の稼働後における柔軟な対応が重要な価値になる。

物流施設の開発事業者にとっては、稼働後の運営におけるサービス提供品質が問われる、さらに高レベルなビジネス戦略の構築を迫られることも意味している。(編集部・清水直樹)

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