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読売センター三鷹所長・山田健太氏「持続可能な兼務のカギは対話」

YCお届け便、宅配スタッフの基本給アップ

2023年3月16日 (木)

▲読売センター三鷹の山田健太所長(左)と読売新聞東京本社販売局の山田直史さん

話題東京都武蔵野市の北部エリアを中心に新聞を配達する「読売センター三鷹」(同市)は、2021年8月からYCお届け便を始めた。宅配事業をゼロから安定軌道に乗せるまでの道のりでは、業務フロー構築やスキル向上といった面で試行錯誤を繰り返したという。店舗を統轄する山田健太所長に宅配事業の現状と課題、その克服したエピソードなどを詳しく聞いた。

──現状の宅配業務の概要について
武蔵野市の北部エリアを中心に、市全体の3分の2で配達を行っている。新聞配達員が計32人在籍(23年1月末時点)しているなかで、新聞配達とYCお届け便の宅配業務を兼務しているのは7人(山田所長を含む)。30代後半〜60代中盤の男女で構成され、このうち1人は宅配に専従するスタッフとして新規採用した。

──宅配事業の進ちょく状況と業績への影響は
アパレル(ユニクロなど)が70〜80%、残りがコスメ・化粧品関連の商品を配送し、21年8月の新事業開始当初からYCお届け便の売り上げは着実に増加している。新たな収入源の確保につながり、経営の多角化が進んだ。

繁忙期は通常の宅配業者と同じで11〜12月の年末に当たり、荷主が販促キャンペーンを展開する時期にも物量が膨らむ。新聞配達業に主軸を置きながらも、経営の多角化戦略による収益源確保の一環としてYCお届け便を有望視している。

──1日の基本的な業務の流れは
配達スタッフは深夜2〜5時に朝刊の業務を行った後、正午まで休んでもらう。午後から再び出勤してもらい、夕刊の業務時間帯の中で、配達の仕事をやってもらっている。それ以外の午前中の配達や休刊日、再配達などは、自分や宅配専従スタッフが担当している。従来の新聞配達とともに宅配の仕事が追加されたため、当初はスタッフの体力的な負担増加を心配したが、スタッフ各人が新聞配達業務と並行して1日の時間の中でいかに仕事を回していくかを考え、業務効率とさらなる意識改革も進んだ。

──今後、宅配業務を行う新聞販売店にアドバイスを
YC三鷹では、新聞の配達や営業、集金といった新聞業務と宅配業務を兼務するスタッフの基本給は従来からアップした。荷量の変動に左右されないよう、賞与や手当ではなく基本給を上げる形にした。マルチタスクで働くスタッフのモチベーション向上につなげ、長く続けてほしいという願いも持っている。

販売店の管理者と従業員の間で、対話が重要だ。私自身も指示や管理だけでなく、実際に一緒になって業務をやっていたのが良かったと思う。始めは不慣れなことやエラーもあるので、店舗全体にストレスがかかるが、2、3か月経過して事業が軌道に乗ると、お客さんから嬉しい声が届き、店舗の売り上げ増加にも寄与してくる。何も分からない状態で始めるため、管理者が、誰が何をやるのか細かく指示していくのが良いのでは。

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