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再配達削減PR月間の4月、官民で情報発信を強化

2023年3月14日 (火)

行政・団体国土交通省は13日、4月を再配達削減PR月間とし、再配達削減に向けた取り組みを強化すると発表した。経済産業省と連携し、宅配便やEC(電子商取引)、通販の事業者とともに再配達を減らす各種施策を展開する。消費者に向けて、宅配便を利用する際の具体的な注意点も明示している。

両省の取り組みとして、SNSによる広報や政府広報テレビ番組での紹介などに取り組む。各事業者は時間帯指定の活用や発送時の送付先での在宅時間の確認などを、自社のホームページやSNSを通じて情報発信する。

再配達削減に向けた宅配便を利用するときのアクションとしては、「自分が1回で受け取れる日時・場所を指定」や「配送状況の通知アプリ活用」など9つのポイントを示している。

「物流の2024年問題」まで1年、消費者も意識を変える機会に

「荷物を運べなくなる。そんな日が現実にやってくる」。物流業界が危機感をあらわにするその要因、それは「物流の2024年問題」への対応だ。2024年4月に始まる、トラックドライバーに対する労働時間の上限規制の適用により、物流への負荷が一気に高まることが予想されている。

(イメージ)

新型コロナウイルス禍も契機としたEC(電子商取引)サービスの急速な拡大による宅配需要の高まりで、現場の取扱量が膨張。一方で、人手不足が顕在化する現場にあっては、足元の業務をこなすのに四苦八苦しているのが実情というものだ。

とはいえ、上限規制の適用が1年後に始まることが決定しているからには、それに対応する具体的な取り組みを策定して実行しなければならない。むしろ、時間外就労を前提とした現在の輸送体系を見直す好機と考えるべきだろう。

国土交通省も、物流の停滞による社会への影響を食い止めるための諸政策を推進している。経済産業省と連携して実施する「再配達削減PR月間」も、こうした取り組みの一環だ。10回に1回の割合で発生しているとされる荷物の再配達。2021年6月に閣議決定された25年度まで5か年の「総合物流政策大綱」は、再配達の削減による物流の負荷軽減を進める方針を盛り込んでいる。

悩ましいのは、再配達の削減は当局や物流事業者の努力だけでは解決しない問題であることだ。荷物を受け取る側、つまり消費者の理解が絶対に欠かせないからだ。消費者が自ら指定した時間帯に配達しても、不在で荷物を渡せない。再配達の指定を受けて再訪しても、またしても不在であるケースもある。消費者は、こうした再配達こそが物流機能を疲弊させる真因であることを、まずは理解する必要がある。

物流の2024年問題は、いわばトラックドライバーの就労環境を確保するための施策だ。こうした現場の最前線が機能しているからこそ、これまでにないほどの便利な輸送サービスを享受できるのだ。それを支えるのは、物流事業者の企業努力もさることながら、顧客である消費者の意識であることを忘れてはならない。(編集部・清水直樹)

23年4月は「再配達削減PR月間」、政府広報も

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LOGISTICS TODAY編集部
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