ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

22年度道路貨物運送業の倒産は43.7%増の263件

2023年4月10日 (月)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は10日、2022年度(4-3月)の道路貨物運送業の倒産状況を公表した。倒産件数は2015年以来となる200件超えの263件と、前年度から43.7%も増加した。また、実労働時間は全業種の平均より30時間以上高いのに対し、現金給与額は全業種の平均を1割下回る結果となった。

過去20年での道路貨物運送業の倒産件数は、08年度の516件をピークに減少し、20年度は新型コロナウイルス関連の支援策により期間中最小の160件にまで減少した。しかし、その後はコロナ禍でのBtoBの物流停滞や燃料費高騰などで21年度(183件)、22年度(263件)と増加傾向にある。


▲22年度の倒産は前年度の1.4倍に急増(出所:東京商工リサーチ)

道路貨物運送業のパートタイム除いた1人当たりの総実労働時間は、月平均195.7時間と業種の中分類別では最も長く、2位の飲食店(172.7時間)を大きく引き離している。これは全業種平均の162.3時間と比較して20.5%長い数値だ。所定外労働時間も月平均33.9時間で、2位の道路旅客運送業(24.5時間)に大きく差を付けた。200時間を超えていた18年度と比較すると短縮傾向にあるが、ドライバーの時間外労働上限規制が設けられる24年を前に、「(24年問題への)対策はほとんど進んでいない」(TSR)としている。


▲長時間労働が常態化(出所:東京商工リサーチ)

長時間労働が常態化するなか、その対価となる現金給与額は平均37万7387円で、全業種の42万9051円に比べて12%も低かった。格差解消に向けた動きとして、ことし4月に中小企業に対して月60時間を超えた時間外労働の割増率の引き上げが施行され、割増率は従来の25%から50%に倍増する。道路貨物運送業に従事するドライバーの要望に応えるものだが、人件費アップによる経営へのダメージは少なくないとしている。

また、TSRが道路貨物運送業者に実施したアンケート調査(有効回答4852社)によると、自社が人手不足であると回答した運送業者は82.8%に上った。22年度の道路貨物運送業の倒産で人手不足に起因するものは22件で、前年度から37.5%増えた。内訳は「求人難」が8件、「人件費高騰」が3件、「後継者難」が11件だった。


▲「人手不足」の回答が8割(出所:東京商工リサーチ)

倒産した企業規模をみると、従業員数5人未満が135社、5〜9人が35社で、小・零細規模の割合が前年度から23.1%増となった。一方で、負債総額は前年度比2.2倍の437億8100万円と膨れた。この真逆の現象について、TSRは「コロナ禍で小・零細企業は支援金などで凌いでいたが、その反動で借入金を抱えての倒産が多くなった」と理由を分析している。


▲10人未満の小・零細規模が主体(出所:東京商工リサーチ)

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com